【よく分からない?シプレ調ってどんな香り?】香水を語るには外せないカテゴリーです。

アロマの選択
フランス ノルマンディにて
フランス ノルマンディ

既に香水をお使いの方であれば色々な香水のイメージを区別してお持ちだと思います。
そしてご自身のお好みの香りも絞っておられると思います。

ですがこれから香水デビューを考えておられる方にとって香水選びは中々ハードルが高いかと。
あまりにも数が多く友人に聞いても好みが違うと ”うん~” となりますし。
そこでご自身で調べてもイメージがわかない・・・となりがちで ^^;

なかでもシプレ調って一体どんな香り?

と、つまづきがちです。
シプレ調は香水の大分類の中で必ず出てくるカテゴリーです。

でも今やその範囲が広く中々イメージがつかみにくいカテゴリーでもあります。
今回はそんなシプレ調についてお話致します。

もくじ

シプレ調の特徴
レジェンド香水コティ・シプレ
香りのアコード
香りの骨格

 ☆香りの骨格
 ☆オークモス
フゼア調との比較
シプレ調の有名な香水

 ☆ゲラン社 ミツコ
 ☆ディオール ミスディオール
 ☆シャネル クリスタル
 ☆カルバンクライン CK-one

シプレ調の香りとはどのような香りなのでしょうか。

シプレ調は幾つかの香りのグループが組み合されているので一言で表現するのは難しいです。
柑橘系の爽やかさに甘い香りが続きそれらを包む森林系のモッシーなイメージももたらす香りです。

最も種類の多いフローラル調の香水に比べ、甘い香りだけではなくオリエンタルな神秘性も感じられます。
そしてフローラル調よりも香りのグループが多く組み合わさっているところが特徴です。

シプレ調の特徴をまとめると次の様になります。

・幾つかの香りのグループの組合せ
・ベルガモットの爽やかさ
・王道のローズ、ジャスミンなどの香り
・ムスクの心地よい甘さ
・オークモスの森林系の清涼感
・女性向け香水が多い

これを見ただけでは中々イメージに繋がらないと思いますが、頭に入れておくと実際に香りを試された時、役に立つと思います。

また今やシプレ調はかなり広い範囲で理解されていますので、ローズやジャスミンが前に出て来なかったり、ムスクもあまり感じられなかったりするパタンもあり得ます。

ではシプレ調の概要をお話ししてゆきます。

ローズマリー

シプレ調と言う名称はある香水から付けられています。
コティ社より1917年に発売されたコティ・シプレです。

コティ社のコティ・シプレ

最初に柑橘系の爽やかさが立ち上がり続いてフローラル系の心地よい甘さを森林のクールなイメージが包む香りです。

コティ・シプレがとても人気を博し調香師はこの香水を手本にその後色々な香水を作ったのです。
その流れよりコティ・シプレの名前を称しシプレ調と呼ばれるようになりました。

一つの商品名が香水の一つのカテゴリー名に昇華したわけです。
いかにコティ・シプレに注目が集まったのか想像に難くないですね。

コティ・シプレは残念ながら今は生産されていません。
今では手に入らないので実際の香りを確認することはできません。

ですが香りの基調は以下の通りです。

シトラス ▷ フローラル ▷ ウッディ

具体的にはベルガモットからジャスミン、そしてオークモスが骨格となっていますので
爽やかさに森林の香りが清涼感をもたらし、そこに花の甘い香りが乗るイメージです。

まさに幾つかの香りのグループが組み合わさったところがこのシプレ調の特徴となります。

花とみつばち

シプレ調は一つの香りのグループでは表現できない香りのハーモニーが特徴です。

例えば、柑橘系と言えばオレンジやレモンの香りをイメージされると思います。
フローラル系と言えばローズやジャスミンなど花の香りをイメージされると思います。
つまり大きな一つのイメージで香りをとらえることができます。

一方シプレ調は一つの香りのクループで表現できず幾つかの香りのグループによるハーモニーが持ち味です。

このように幾つかの香りを調合し新しい香りの印象を創る組み合わせをアコードと言います。
このアコードによりさらに色々な香水が生まれることになりました。

コティ・シプレはウビガン社のフゼア・ロワイアルと並びアコードを香水創作の主流に押し上げたのです。

ではシプレ調は、どのような香りのアコードを持っているのでしょうか。

シプレ調の香水は今やとても多くの種類があります。
なので全てを同じ様に扱う事はできません。

ですが先ほどコティ・シプレでお話ししたアコードの骨格は基本的に同じです。

シトラス ▷ フローラル ▷ ウッディ

特に特徴的なのは
シトラス系のベルガモット
ウッディ系のオークモスです

この2つの爽やかでクールなイメージにフローラル系の甘い香りが乗ります。
ジャスミンの香りもよく使われますが、やはり特徴的なのはムスクです。

同じ甘さでもムスクは少し重くオリエンタルな雰囲気ももたらします。

シプレ調では最初の爽やかなベルガモットとベースノートになるオークモスが特徴的だと言われます。

ベルガモットは紅茶のアールグレイでお馴染みなのでどの様な香りかお分かりだと思います。
一方オークモスは中々イメージがつかないかと思います。

オークモスは天然香料でシプレ調、フゼア調では必ず使われます。
まさに苔で森林系の香りなのですが少しスモーキーでもあり土の湿った感じももたらします。

ベルガモットとの相性は良く、やはりシプレ調の清涼感を感じさせるキーファクターです、

ただ皮膚感作(アレルギー)を引き起こす可能性が高く、そのリスクが懸念され香水へは0.1%未満の使用に制限されている天然香料です。

香りが強いので少ない量でも存在感を示します。

ローズマリー

シプレ調と同じくアコードによって香水が作られるカテゴリーにフゼア調があります。
どんな香りかよく分からない、と言った点でもシプレ調と似ているのですが。。。

しかもアコードの基調もほぼ同じです。

アロマティック ▷ フローラル ▷ ウッディ

最初のアロマテックはシトラスも多く含まれています。
ですので同じ様な基調なのですが、出来上がりの印象の違いを一言で言えばシプレ調の方が甘く重いです。
フゼア調の方がよりクールな印象です。

ではその違いは何から来るのでしょう。
それはフローラル系の違いです。

フゼア調の特徴はラベンダーを多く使うことです。
ラベンダーはベルガモットと重なるように最初のアロマテックで香ります。
ラベンダーですのでローズやジャスミンのような王道の花の香りではなくハーブ系の柔らかい花の香りになります。

さらにフゼア調の特徴はクマリンを使うことです。
クマリンは桜の葉に多く含まれ桜餅の香りでもイメージできます。

甘さの中にもハーブのような葉の香りを伴っているのがお分かりだと思います。
ですので花の甘さの濃淡の違いがシプレ調とフゼア調の重さの印象の違いに繋がっています。

ラベンダーとウッディ系のパチュリなどとの相性が良いことからもフゼア調はよりクールな印象があり、男性向け香水が多いカテゴリーになっています。

花の甘さが前に出るシプレ調の香水の多くが女性向けであることとは対照的です。

なおフゼア調については別のコラムでお話ししていますのでご参考になさってください。

ラベンダーとみつばち

シプレ調の香水として必ずと言ってもよいほど紹介される香水です。
シプレ調の特徴であるベルガモットとオークモスが使われさらにこの香水を特徴付けているのがピーチの甘さです。

少し重めの香りではありますので若い人にはネガティブな印象もあるようです。

この香水もシプレ調を代表する作品としてよく名前が挙がります。

ベルガモット、ローズ、ジャスミン、オークモス、パチュリとまさにシプレ調の骨格をなす香りで構成されています。

特にフローラル系のトーンが嫌味なく上手く使われている点がこの香水の特徴で若い人達の評価も上々です。

シプレ調の中でも少しフレッシュなイメージのある香水です。

これは最初にベルガモットとレモンが使われている点と、フローラル系も王道の花ではなくヒヤシンスのようにグリーン系の抑えた甘さの香りを使っている点にあります。

華やかさと言うより自然なエレガントさをイメージさせる香りです。

この香水もよく名前の挙がる作品でユニセックス向けとして人気があります。
甘すぎず清涼感と共にクールな印象があるので男性向けでも紹介されます。

シトラス系の香りがシンプルでそのベルガモットに相性の良いアロマティックなジャスミンが洗練された印象をもたらしています。

最後に残るベースノートは森林の樹液が元となるアンバー(琥珀)が漂いますので全体のイメージがシャープさだけでなく温かみが加わり落ち着いた印象になっています。

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