
タイトルをご覧になって、嗅覚力?
と思われた方は多いのでは(笑)
いえいえ皆さんがお考えになる以上に嗅覚はとても大切ですよ。
嗅覚は生活の質を高めるキーファクターです。
逆を言えば嗅覚が衰えている人は知らず知らずのうちに日常生活に支障をきたし始めています。
例えば味わいが分りにくい
記憶力が落ちている
更に進むと認知症になっている
この様なことが身に起こり始めます。
えっ!ほんとに?と思われた方は別のコラムをご参考になさってください。
ですが嗅覚は鍛えてその機能を維持することが可能なのです。
この点は視覚・聴覚とは異なります。
つまり嗅覚は、視覚・聴覚に比べその機能維持の努力が報われます。
実際その様な測定結果があります。
今回はアロマで嗅覚力が高いレベルで維持できている結果をご紹介します。
嗅覚を鍛えてもね〜(笑)
と思われずに今回の話にお付き合いください。
◇ 日本アロマ環境協会による調査報告
◇ 調査結果が示すこと
◇ 調査内容
・オープンエッセンス法
◇ 一般的な人の嗅覚力データ
◇ 一般的平均値とAEAJの結果の比較
・50歳までと50歳以降の比較
・50歳以降の年代別比較
◇ 嗅覚力の維持と生活の質(QOL)の向上

日本アロマ環境協会による調査報告
AEAJ(日本アロマ環境協会)が興味深い嗅覚力測定結果を報告しています。
測定対象の方々はアロマ使用歴が1年以上の方がとても多かったのですが、一般平均よりも高い嗅覚力を維持していることが分かりました。
嗅覚の衰えは生活の質を損ないます。
例えば嗅覚の衰えが認知症の疑いに繋がるのは一例です。
それでは次に具体的な数字で結果をご紹介いたします。
調査結果が示すこと
調査対象の約83%の方々が1年以上のアロマ使用者です。
特に50代、60代の方々の嗅覚力が40代までの方々の嗅覚力とほぼ同じレベルでキープされている点がポイントです。
アロマに関係のない一般的な平均値はもちろん40代までと50代以降では大きな違いがあります。
50代以降では平均的に40代までのおよそ7割くらいの嗅覚力となります。
それを考えるとアロマの使用によって50代以降でも嗅覚力を保っているのは素晴らしいことだと思います。
それでは調査報告を詳しくご紹介いたします。
調査内容
AEAJが主催するアロマフェスタ(2022年)へ来られた方々を対象に嗅覚力の測定を行っております。
対象者、並びに調査方法は以下の通りです。
対象者:10代から70代の男女357人
男性33人 女性322人
回答なし2人
平均年齢46.2歳
測定方法:オープンエッセンス法
☆オープンエッセンス法
日本人に馴染み深い12種類の香りをひとつづつ当ててゆきます。
12種類のうちいくつ正解したのか測ることで嗅覚力を測定します。
12種類の香りはそれぞれ二つ折りのカードの中に仕込まれたマイクロカプセル内に入っています。
そしてカードを開くとマイクロカプセルがはじけ匂いが立ちます。
カードを使うためカード式嗅覚テストとも呼ばれます。
この様にとてもシンプルな調査です。
ですので結果も分かりやすいです。
もう一つ同じ様な調査報告を先にお話ししておきます。
それはアロマには関係なく、若い人と年齢の高い人の嗅覚力の差を調べた結果です。

一般的な人の嗅覚力データ
一般的な人を50歳までと50歳以上に分けて嗅覚力の平均値を示しています。
ここではアロマは関係ありません。
日本耳鼻咽喉科学会会報2018年121巻1号
オープンエッセンスによる嗅覚加齢性変化のスクリーニング
対象者:50歳未満の健常者43名
(男15名 女28名 平均57.2歳)
50歳以上の健常者50名
(男37名 女13名 平均31.0歳)
(最高72歳)
計測方法:オープンエッセンス法
文献の中ではあと別の2種類の測定方法も使われています。
今回はAEAJの調査報告と比較するためオープンエッセンスの結果をご紹介致します
計測結果:50歳未満の平均正解数
10.04
50歳以上の平均正解数
7.06
平均正解数は12種類の香りの内、正しく認識できた数を示しています。
10.04は12種類の香りの内、10種類をあてたことになります。
これがアロマに関係なく一般的な人の嗅覚力です。

一般的平均値とAEAJの結果の比較
AEAJの調査対象の方々の約83%が1年以上アロマを使用されている経験者です。
☆50歳までと50歳以降の比較
AEAJ | 一般平均値 | |
50歳未満 | 10.1 | 10.04 |
50歳以上 | 10.08 | 7.06 |
50歳未満ではほとんど差はありません。
やはりポイントは50歳以上の結果です。
一般の方々は50歳を超えると加齢による衰えがはっきりと表れています。
約3割のダウンです。
にもかかわらずアロマの使用者は50歳未満の平均値と同じレベルを保っています。
☆50歳以降の年代別比較
AEAJの調査報告は年代別の数値も示しています。
それに合わせる形で一般的平均値を文献のグラフから読み取り一部加工して比較してみます。
グラフからの読み取りのため小数点以下の数字でひょっとすると正確さに欠けるかもしれませんがほぼ違いはないと思います。
AEAJ | 一般平均値 | |
50代 | 10.01 | 7.26 |
60代 | 10.02 | 6.82 |
70代 | 7.5 | 2.00 |
ご覧になってお分かりの様に50代もさることながら60代が驚きです。
アロマ使用者は60代でも50歳未満の嗅覚力を維持されています。
つまり若い方々と変わらない、ということです。
なお70代の数値ですが対象となる方々の人数があまりにも少ないので、あくまでもご参考程度です。AEAJの報告では対象者が2名、一般的平均値では対象者は1名です。
ただそれでもアロマ使用者のお二人が普通の方々の50代平均を上回っているのは驚きです。

嗅覚力維持と生活の質(QOL)の向上
普段の生活では、あまりにも視覚・聴覚の存在が大きいので嗅覚に注意を払うことはあまりないと思います。
ですが、体調を一定に保ち生活の質を落とさないようにするには嗅覚の貢献はとても大きいです。
歳を重ねるほど体調を整えるのは難しくなります。
一方香りの信号は体調を一定に保つ脳内司令塔に直接届けられます。
その司令塔に直接働きかけることができるは視覚でも聴覚でもありません。
つまり嗅覚力を維持することは体調維持にも繋がります。
今回の調査報告をご覧になられても、でも嗅覚をきたえてもねぇ~、と思っておられるかもしれません。
いかに嗅覚と体調維持に関係があるのか次のコラムもご参考になさってください。
ぜひアロマを試され香りを楽しみながら嗅覚を鍛え体調維持にお役立てください。