
このコラムではアロマの効果について色々とご紹介しております。
ですがアロマの効果は言葉では中々表現しづらいです。
また視覚や聴覚に比べ嗅覚は端に追いやられているかと。。
ところが遺伝子レベルでは圧倒的に嗅覚に軍配が上がります。
体はそれだけ嗅覚を大切にしているのです。
今回は遺伝子レベルでの嗅覚と視覚・聴覚の違いについてお話致します。
◆ 五感と遺伝子グループの数
◆ 嗅覚の遺伝子とノーベル賞
◆ 嗅覚の遺伝子は数が多い
☆ 受け取る情報の違い
☆ 生存に関わる本能の部分
五感と遺伝子グループの数
五感の中で嗅覚は末席にいるようです。
あまりにも視覚の存在が大きいですからね。
嗅覚は普段ほとんど意識されないですしね。
ですが体は遺伝子レベルで嗅覚を大切にしています。
遺伝子グループの数 | |
嗅覚 | 約800程度(実際に働いているのは400程度) |
視覚 | 約4~5程度 |
聴覚 | 約40~50程度 |
味覚 | 約30程度 |
この様に五感の中でも嗅覚に関係する遺伝子グループは圧倒的に大きいのです。
普段の生活では気が付いていませんが。。
嗅覚情報は重要だと体は進化の中で考えてきたのです。
そして嗅覚の多様な情報に対応できるように遺伝子の数が多くなっているのです。
ちなみに触覚については明確にグループ化されておらず、今のところ具体的な数は分かっていません。

嗅覚の遺伝子とノーベル賞
かつて嗅覚は謎に包まれていました。
嗅覚研究の扉が大きく開いたのは1990年代に入ってからです。
2004年には嗅覚に関する遺伝子の発見に対しノーベル賞が授与されています。
このノーベル賞を受賞する論文は1991年に発表されています。
匂いを受け止める遺伝子が存在するのか?
その謎を解くために遺伝子を調べていたのがリンダ・バック博士です。
すると一つの大きな遺伝子ファミリーが見つかります。
まさにその大きな遺伝子ファミリーが匂いの分子を受け止める遺伝子だったのです。
匂いを捕まえるためにこれだけ多くの遺伝子が使われているとは誰も予想していなかったのです。
最初にお話しした通り視覚や聴覚の遺伝子に比べても圧倒的に大きなグループだったのです。
進化の中でそれだけ多くの遺伝子が残されきたのは、やはり嗅覚が大切で必要だったからなのでしょう。
当然嗅覚に対する関心が集まります。
ここから嗅覚に関する研究が一気に加速します。
すると嗅覚信号が脳にどのように伝えられ処理されるのか、そのプロセスも分かってきたのです。

嗅覚の遺伝子は数が多い
では視覚や聴覚に比べ、どうして嗅覚の遺伝子数が多いのでしょう。
☆ 受け取る情報の違い
大きな理由としては受け取る情報の違いがあります。
視覚は光、聴覚は音の波です。
多くの違った種類の光や音、と言うよりもその元になる波を一旦とらえるイメージです。
一方匂いは化学分子です。
つまり匂いの数だけ化学物質の分子の種類が違うのです。
違う構造を持つ分子を区別してとらえる必要があります。
そのため匂いの化学分子を受け止める嗅覚の仕組みは多くの遺伝子により、巧みにつくられているのです。

☆ 生存に関わる本能の部分
ではわざわざ遺伝子の数を増やしてまで、色々な匂いの分子をとらえる必要があったのでしょうか。
まさにそれこそが五感の中でも嗅覚が重要な役割を果たしてきた理由に関係します。
嗅覚は動物の進化の中で生存に関わる重要な役割を果たしてきました。
それは獲物を探したり、逆に天敵の接近を知る、まさに生き残るためのツールだったのです。
視覚や聴覚では不十分だったのです。
視覚は夜には使えません。
聴覚は獲物や天敵が近くにいてこそです。
ですが嗅覚は残り香を使えます。
警察犬が犯人を追いかけるあれですね。
獲物や天敵が通ったあとに匂いが残ります。
さすがに人は犬ほど鼻が利くわけではありませんが、進化の中で人もまた嗅覚の仕組みを受継いできたのです。
例えばすき焼きやウナギのかば焼きなどの香りが漂うとまずは一旦そちらを振り向くと思います。
食は本能です。
まさに生存をかけた本能の部分に香りの信号は働きかけているのです。
香りの信号が本能に働きかけている、とはどういうことなのでしょうか。
そして香りの信号の効果をアロマはどのように利用しているのでしょうか。
それらについては話が長くなりますので次のコラムをご参考になさってください。
嗅覚は普段意識されることはありませんが、実は脳神経にダイレクトに働きかける信号を発信します。
それが内蔵を支配する自律神経にも影響をもたらします。
まさにこれがアロマの効果と呼ばれるものです。
ぜひアロマを普段の生活でお試しください。