【嗅覚は認知症のリトマス試験紙です】認知症の初期症状として嗅覚の衰えが見られます

アロマの効果
フランス アルザス
フランス アルザス

どのような大きな病気も自分自身が辛いのは当然ですが、認知症は家族や周りの人達も巻き込むことになります。
特に認知症は寝たきりのケースは少ないので余計に周りへの影響が大きくなりがちです。
薬もある一定の効果にまだ留まってます。

認知症は癌と共に怖い病気です。
どちらも予防の効果が見えないので。

ですが近年認知症対策にアロマが注目されつつあります。
実際臨床実験結果も出始めています。

まだまだ多くの検証結果を待つ必要はあります。
ですが他の深刻な病気同様、認知症も予防できるのであれば対応したいものです。

今回はどうしてアロマが認知症対策で注目され評価されつつあるのかお話し致します。

記事の簡単な内容紹介

・認知症の初期症状で嗅覚の衰えが見られるので、認知症と嗅覚には関係があると考えられています。
・そこで嗅覚に作用するアロマに注目が集まるわけですが、実際アロマが期待されているのはなぜでしょうか。
・アロマが期待されている理由は4点ほど挙げられます。
・今回はアロマが認知症対策に期待されている4点についてお話ししています。

もくじ

嗅覚は認知症のリトマス試験紙
香りが認知症対策に注目される理由
香りの信号が届く脳内部位
 ・記憶を司る海馬のリスク
 ・脳内血流の不足
 ・香りの信号が届けられる先
嗅覚は鍛えることができます
 ・嗅細胞神経の再生
 ・視覚、聴覚との違い
副作用は報告されていません
ダイエットの様な努力も不要

嗅覚は認知症との関係がとても深い感覚器です。
そのため嗅覚が衰えているとほぼ認知症の初期症状だとみなされます。
実際認知症の検査として商品化され、嗅覚検査も取り入れられ始めています。

ですので嗅覚をチェックすることで初期段階でも認知症を見つけることができます。
初期段階であれば薬の効果も期待できるかもしれません。

さらに嗅覚は認知症の検査だけでなく、アロマを通して認知症予防につながる可能性を秘めています。

実際、アロマを高齢者に試してもらい認知力の改善に効果があるとの結果も出始めています。

まだまだ多くの検証結果を待つ必要はありますが、これまでのところ認知症対策としてアロマの効果は注目され評価されつつあります。

香りが認知症対策に注目されている理由はおおむね次のようなことです。

一つづつお話致します。

花とみつばち

香りが認知症対策として期待されている最も大きな理由だと思います。
視覚・聴覚の信号と異なり、嗅覚の信号は脳の奥のコアーの部分に直接届けられます。
そしてこの届けられる先の脳のコアーの部分がまさに認知症の引き金となる部分なのです。

認知症は脳のどの部位からダメージを受けるかご存じでしょうか。

人の脳は生物進化の中で本能を司る部位をコアにそれを包むように大きくなってきました。
そのコアの部位は大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)です。
その大脳辺縁系の中に記憶を司る海馬(かいば)と呼ばれる部位があります。

認知症のほとんどのケースは海馬の損傷が見られます。
海馬は小さな部位ですが、脳神経が超過密に集積しています。

人口密度が過密な都市は精密機械のように動くものの、その分何かトラブルが起きると大きく影響が波及します。

海馬も同じで、大食漢である脳の中でも最もエネルギーを必要とするため特に糖分供給にリスクを抱え最初にダメージを受ける部位でもあります。

認知症の方は脳内の血流が少なくなっていることが分かっています。

脳内の血流を増やす神経部位があることが1989年に見つかっています。
この神経部位から脳内の3つの箇所に神経の足が伸びています。

・大脳新皮質(人として考える部位)
・海馬(記憶を司る部位)
・嗅球(嗅覚の部位)

そして嗅球に伸びる神経の足がもっとも細いので最初にダメージを受ける可能性が高いと指摘されています。
そのため嗅覚が弱くなっていると脳内血流が少なくなっている可能性があります。

つまり嗅覚の衰えがリトマス試験紙となり認知症の初期症状として表れる一つの理由と考えられています。

香りの信号はまず嗅球に届けられます。
そこから本能を司る大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)に送られます。

海馬はまさに大脳辺縁系に位置する部位です。
つまりアロマで実証されているラベンダーやローズマリーなどの香りが、認知症のリスクを抱える部位に働きかけるのです。

ご自身がリラックスできるお気に入りの香りでも嗅球や海馬に直接癒しの信号を送る事ができるのです。

ローズマリー

多くの脳内神経細胞は再生しないと考えられていますが、海馬は成長することができるのです。
ロンドンのタクシードライバーの海馬が大きいことはよく知られた事実です。
また香りの最先端にいるソムリエの海馬もまた大きいのです。

ソムリエの海馬の話は別のコラムでご紹介致しております。

ソムリエの話からもお分かりの様に、海馬が成長するきっかけの一つが隣り合わせにある嗅覚の脳神経から送られてくる香り信号です。

そして香りの信号を発信する嗅覚入口の嗅細胞神経も再生するのです。
嗅細胞神経は特殊で約1か月強で生まれ変わります。

ちょうど皮膚のターンオーバーも約1か月ですから常に外の環境変化に対応しているように思えます。
しかも嗅細胞神経は脳に出入りする脳神経である第一脳神経ですからほぼ外界と接するむき出しの脳のようです。

いづれにせよこの特徴のため刺激があると嗅細胞神経は成長をするのです。

再生に関しては嗅覚は視覚、聴覚と異なります。

視覚、聴覚は一度機能が衰えると基本的に復活することはありません。
例えば近視老眼はその典型例だと思います。
また緑内障なども修復はしません。

どの症状も更なる悪化を止めることがせいぜいです。

一方聴覚もそうです。
一旦弱くなった聴覚が元に戻ることはほぼありません
日常的にイヤホンなどで強い音を聞いていると聴力の回復が追い付かなくなり徐々に聴力は衰えてゆき
ます。

視覚、聴覚に比べ嗅覚は訓練をすれば鍛えることができます。
この差は大きいと思います。

実際にアロマ愛好者の嗅覚力が一般の方に比べその機能を維持している調査報告があります。
別のコラムでご紹介していますのでご参考になさって下さい。

花とみつばち

認知症に関してはまだ決め手となる薬は開発されていません。
例え症状を抑える薬があったとしても副作用の問題は付いて回ります。
とくに歳を重ねると肝臓や腎臓の働きが衰えてくるので副作用の症状も出やすくなります。

一方アロマについては、使う量にも依りますが通常の使い方であればこれまで問題は報告されていません。

ただ天然素材である精油(エッセンシャルオイル)での話です。
香水のように合成香料と認知症についての文献はありません

いい香り、と感じることと、体にいい、は別です。
実際合成香料で頭が痛くなったりすることはあります。
脳神経が有益と感知する香り分子合成香料の香り分子は異なります

天然素材の精油と合成香料の違いは別のコラムでお話しております。

ただ香りを楽しむだけです
ダイエットや筋トレのような強い意志とは無縁です。

どうしても認知症は年齢を重ねると罹患する確率が上がってきます。
高齢であっても手軽に対応できるのがアロマの良いところです。

しかも実験結果(本文中最初のご紹介別コラム)では寝ている間の芳香浴で効果を確認しています。

実際この実験結果を報告したアメリカの研究者達は、できるだけ高齢者に負担をかけないで対応できる方法に重点をおきこの実験を設計しています。

冒頭でお話しした通り、嗅覚は認知症と深い関係があり、アロマは予防にも期待が集まる対策方法です。
一度男性もアロマをぜひお試し下さい。

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