どちらも香りを楽しみますが・・
香水とアロマ(エッセンシャルオイル、精油)は全く別物とお考えの方は多いと思います。
イメージ的にも香水の「動」に対してアロマの「静」と言ったところでしょうか。
ですが香りを楽しむ、と言う点ではどちらも同じです。
しかも香りを作り出す香り成分の分析や種類はかなり重なっています。
では別物の様に感じられる香水とアロマの大きな違いは何でしょう。
1.植物由来の天然素材か合成素材か
2.ヘルスケアーを期待できるかどうか
3.香りを内に向けるか外に向けるか
特に1と2はお互いに関係しています。
それでは順にご説明いたします。
1.植物由来の天然素材か合成素材か
2.ヘルスケアーを期待できるかどうか
・脳神経が反応する香り成分
・体調管理の視床下部に届く信号
・香水が合成素材で作られる理由
3.香りを内に向けるか外に向けるか
1.植物由来の天然素材か合成素材か
近年の香り分子に関する化学の進歩は目覚ましいものがあります
中でも日本の科学者の貢献度はとても大きいです
そのお一人である大村智教授をご存知でしょうか
2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞された方です
まさに天然に存在する物質の化学式を解明する研究です
そのような科学者の努力により、多くの香りの分子は複製が可能となっています
香水はほぼ合成素材で作られます
香りの分子を化学の力で複製できるからこそです
いえ、複製だけではありません
天然ではなく新しい香りを合成創作して香水に使っています。
一方アロマで使われる精油(エッセンシャルオイル)は100%植物より抽出されます
つまり天然素材です。
では天然と合成の違いが精油と香水にどのような違いをもたらすのでしょう?
2.ヘルスケアーを期待できるかどうか
やはり違いとして大きいのはヘルスケアーへの期待です
香水も精油も香りを楽しむものです。
ですが香水は純粋に香りを楽しむことはできますがヘルスケアーの役目はありません。
一方精油は香りを楽しむ事自身がヘルスケアーに繋がっています。
どうしてどちらも香りを楽しむのにヘルスケアーに差があるのでしょう?
脳神経が反応する香り成分
香りが体調に働きかけるのは脳神経を刺激するからです
しかも脳神経の中でも体の状態を一定に保つ司令塔の部位に働きかけます
具体的には視床下部(ししょうかぶ)に働きかけます
香りの信号が鼻の奥から脳神経に送られます。
この信号は鼻の奥にあるセンサーで発信されます。
このセンサーはとても精密で色々な香りの組み合わせにも反応するのです
香りの組み合わせにも反応する点がポイントです
一つの香り分子だけに反応するのではなく色々な香り分子の組み合わせにも反応します
なので、天然精油と全く同じ構成の合成素材でないと嗅覚の匂いセンサーは同じように反応してくれません。
つまり合成の香りは分かっても、脳神経の体調をコントロールする部位に信号を飛ばしてくれません。
香りの信号が体調をコントロールする脳神経の部位に届けられるという意味については次のコラムをご参考になさってください。
体調管理の視床下部に届く信号
ヘルスケアーとして精油には反応して合成素材には反応しない理由はここにあります
合成で精油を完全にコピーするのは大変です
細かい部分で香り成分が欠落すると脳神経への信号も変わってくる、ということです
もちろん合成の香りであっても匂いは分かります
いい香りだなぁ~と。
ですが視床下部にヘルスケアーにプラスの信号としては発信はされない、ということです
視床下部にプラスの信号が送られないとヘルスケアーにはつながりません。
むしろ香水の香りで周りの人が少し離れたい、と感じたりひどい場合は頭痛がしたりすることがあります。
これはその香水の成分である合成素材が不快な信号として脳神経が受け止めていることになります。
もちろん合成素材の香水がいつも頭痛を引き起こすわけではありません。
種類によっては精油と同じような癒し効果をもたらすものもあるでしょう。
ただそのような癒し効果を目的とした香り成分構成を考えていないということです。
これが天然の精油と合成の香水の違いです
どちらもいい香りを楽しめます
ですが香水はヘルスケアーは期待できないということです。
天然素材と合成素材の違いについては以下もご参考にされてください
香水が合成素材で作られる理由
香水に合成素材がつかわれる大きな理由は4つあります
① 価格が安い
② 天然に比べ品質が安定している
③ 香り成分の自由な組み合わせができる
④ 天然にはない良い香りを作る事ができる
商業ベース的には言うまでもなく①②が重要です
とくに②は大量生産するのには欠かせないポイントです
アロマより香水が個性的な香りを作れるのは③④のおかげです。
どうしてもアロマは植物から採取する天然素材なので、種類が限られてしまいます。
一方の香水は香り成分分子の割合を自由に変えることにより、アロマにはない香りを作り出すことができます。
香水の大分類とそのレジェンド香水については別のコラムでお話ししております。
またどの様な種類の香水に人気があるのか、次のコラムをご参考になさってください。
3.香りを内に向けるか外に向けるか
アロマは香りを自分自身で楽しみます。
香りを体に取り込み体調を整えます。
なので香りの使い方が内向きです。
一方香水はもちろん自分で香りを楽しみますが、同時に周りへも香りを発信します
体臭を隠すためであったり
相手へのアピールだったり
香りを外に向けて使います
これがアロマが静で香水は動のイメージをもたらしているのかもしれません
実際アロマは室内で楽しみます
一方香水は外に出かける時に使います
と言うことで、アロマと香水は香りを楽しむため、香りのブレンドのアプローチの骨格はさほど変わりません。
実際アロマを勉強された方ならお分かりだと思いますが、エッセンシャルオイルを使い香水を作るレッスンを受けられたと思います。
香水の方が合成素材のため選択できる香り成分の種類が多いことでしょうか。
中身の違いと言えば以下の通りです
・香り成分が天然か合成か
・天然にない新しい香り成分の存在
・天然とは異なる香り成分の組み合わせ
この違いで出来上がりの雰囲気は結構異なります
目的に応じて素敵な香りをお楽しみください
・香水は合成、アロマは天然
・どちらも香りを楽しめます
・ですが香水は体調管理には使えません
・香りをアロマは内向きに香水は外向きに