せっかく手に入れたエッセンシャルオイル(精油)ですから、長持ちさせて最後まで使い切りたいですよね
ではエッセンシャルオイルはどのようなことが原因で劣化するのでしょう
そしてどのくらい品質は保たれるのでしょう
今回はエッセンシャルオイルの扱いについてお話致します
エッセンシャルオイル(精油)の品質劣化の原因
エッセンシャルオイル(精油)の保管状態や使い方により品質の劣化はさまざまです
ですがエッセンシャルオイルの扱いで気を付けなければならないポイントは次の3つです
① 酸化
② 加水分解
③ 重合
どれも香り成分の分子に化学変化が起きるため品質が落ちてしまいます
一つづつ順にお話いたします
① 酸化
エッセンシャルオイルに限らずこの言葉は商品が劣化する原因としていつも目にしますね
商品だけでなく人も老化が加速される理由の一つに体内での酸化が挙げられますね
酸化しやすい成分
香り成分の分子は隣同士で手をつないでいます
その手のつなぎ方は
お互いの片手同士で結ぶ一重結合と
お互いの両手同士で結ぶ二重結合
があります。
二重結合は一重結合に比べ弱い結合です
なので酸素がひつこく二重結合の部分にアプローチしてくると、結局酸素と手をつないでしまいます
これが酸化です
エッセンシャルオイルではありませんがわかりやすい例がオリーブオイルです
オリーブオイルは熱にも強く酸化しにくい体に良い植物油と言われていますね
オリーブオイルは多くが一重結合で二重結合が少ないのですね
ですので品質が安定しているのです
ちなみにオリーブオイルはエッセンシャルオイルを混ぜるキャリアオイルとして使われ、アロマでは肌へのトリートメントとして使われます
酸化しにくいのがポイントです
熱と光が酸化を呼び込む
では酸化をもたらす原因は何でしょう
それは光と熱です
エッセンシャルオイルの瓶は必ず色が入っていますね
それである程度光対策はできます
ですが問題は熱です
最近の日本の夏は耐え難い暑さです
外出時に窓を閉め切り出かけると、たとえカーテンを閉めても50℃以上になる部屋があります
それがキッチン周りだと、結構食品や調味料がダメになってしまいます
特に夏場のエッセンシャルオイルの置き場所は要注意です
柑橘系のエッセンシャルオイルは特に要注意です
きちんとエッセンシャルオイル(精油)の保管状態に気を配れば1年くらいは楽しむことができます
ですが、柑橘系のエッセンシャルオイルは要注意です
柑橘系はとても爽やかな気分にしてくれます
しかも一瞬で効果が分かります
この爽やかさをもたらす香り成分の代表選手はリモネンと呼ばれています
実はこのリモネンはとても酸化しやすい成分です
ですので柑橘系のエッセンシャルオイルは半年くらいで使い切ることをお勧めします
リモネンはとても軽い分子なので揮発性が高く直ぐに空気と混ざろうとします
なので意外と盲点になるのが瓶のキャップをしっかりと閉め切らないことです
特に柑橘系はキャップを適当に閉めておく、というのは厳禁です
② 加水分解
学生時代の化学の授業のようですね
文字通り水が加わり香りの成分が化学変化することです
酸化と同じで香り成分が変化しますので品質劣化が起こります
夏場の湿度に要注意
酸化の高温と同じ様に夏の高い湿度には要注意です
欧州は北海道と同じかそれ以上緯度が高い地域がほとんどです
なので夏でも気温は厳しくなく湿度に至ってはとても爽やかです
それこそ日陰に入ると夏でもとても快適です
歴史的に欧州でアロマや香水が発達した隠れた理由がここにもあるのでは、と管理人は思っています
そもそも欧州ではハーブやローズが育ちやすい気候というのもあるのですが。。
それはともかく日本の夏の高温多湿の環境はとても過酷です
エッセンシャルオイルの保管場所にはくれぐれもご注意を
風呂場や洗面所にも配慮を
さすがにエッセンシャルオイルを湿度の高い風呂場や洗面所に置かれることはないと思います
ですが、エッセンシャルオイル入りをうたっている製品は要注意です
価格の手ごろな製品はそもそもエッセシャルオイルが入っている可能性は低いですが、高級化粧品や高級な香水は、洗面所に置かれるケースもあるのではないでしょうか。
香水は合成素材ですので、品質をできるだけ保てるように手が加えられているかもしれません
例えば酸化しやすいリモネンをあらかじめ取り除いたりするケースがあります
一方エッセンシャルオイルは単に植物から抽出するだけで、その後防腐剤等の手を加えることはありませんので敏感です
湿度に弱いエッセンシャルオイルの例
☆ラベンダーには要注意
とにかくアロマ系の製品は「ラベンダー配合」と、うたっていることが多いです
たしかにアロマと言えばラベンダー、とその知名度とりラックス性の実力は認められるところです
ですがラベンダーのエッセンシャルオイルは湿度に弱いグループに入ります
水で化学変化を起こす代表的な香り成分に
酢酸リナリルと酢酸ベンジルがあります
ラベンダーはこの酢酸リナリルを多く含みます
同じグループにはベルガモット、クラリセージのエッセンシャルオイルなどがあります
一方酢酸ベンジルを含むグループは
ジャスミンやイランイランのエッセンシャルオイルがあります
ラベンダーを筆頭によく成分表に見かける種類だと思います
特に化粧品関係は女性を意識していますので、女性特有の症状に向けクラリセージが配合されていたりすると思います
エッセンシャルオイルをダイレクトに使うのではなく、製品に混ぜている濃度だと影響は少ないかもしれませんが、しっかりとキャップを閉め、多湿な洗面所ではなく寝室などに置かれることをお勧めします
さらにご自身で基材(植物油や植物油脂)とエッセンシャルオイルを使いオイルやクリームを作られる際にも水にはご注意ください
③ 重合
いくつかの香り分子が化学変化でくっつく現象です
分子が大きくなりますので揮発しにくくなり使いづらくなります
例えば瓶のキャップ周りがベタベタしたりします
レモンのエッセンシャルオイルは要注意です
レモンの香りを特徴付けるシトラールと呼ばれる成分があります
この成分は、酸化と共に重合を起こしやすい成分です
香りはとても爽やかなんですけどね。。。
このグループとしてはレモングラスやメリッサもシトラールを多く含みます
なので酸化・重合には注意です
どちらも爽やかな気分を晴らしてくれる香りですが。。。
使用期限のメドは1年程度
多くのアロマは大体1年くらいが目途です
上で説明した保存状態に気を配ればですが
少し大雑把な言い方になりますが、柑橘系は半年くらいを目途に考えた方が無難です
柑橘系の香り成分はほとんどが軽いです
そのため空気にすぐに混ざりますので劣化しやすいです
逆に香りの持続時間が長いベースノートと呼ばれているグループは長持ちする場合が多いです。
これらの香り成分はもともと重いので直ぐに揮発するわけではありません。
その分空気と直ぐに混ざるわけではなく劣化もある程度避けられます
1年以上場合によっては2年以上その程度を保ちます
ちなみに店頭でテスト用の瓶が並んでいると思います
キャップが毎回しっかりと閉められているのならまだいいですが、色々な方が手にとるのでどうしても劣化は避けられないと思います
それは仕方ないとして、ご自身のお気に入りの香りを探そうとしているのにどうも印象が違った、というケースはあろうかと思います
ですがそれは本当のそのエッセンシャルオイル(精油)の香りではないかもしれません
どうもイメージが違うな、と思われたら店員さんにテスト用の小瓶の香りを確認してもらうのも一つの方法です
冷蔵庫での保管は?
ここまで読んでくださった皆様は、じゃ冷蔵庫で保管すれば、と思われたかもしれません
確かに光対策と高温対策ができます
残念ながらあまりお勧めではありません
出し入れに伴う温度変化が大きいからです
あと一つは夏場の結露の問題があります
日差しが強く高温の夏こそ、と思いますが逆にそれだと急激な温度変化を伴います。
大きな温度変化はエッセンシャルオイルに負担をかける事になります。
また夏はどうしても瓶に結露ができます
これも加水分解を引き寄せます
購入したものの暫く使わない、ということでしたら問題はありませんが。
ただ精油の保存は10℃から15℃くらいが良いとされています
まさにワインセラーの温度と同じですね
冷蔵庫は10℃以下ですので、せめて野菜室でお願いいたします
菌の繁殖は?
精油は植物から抽出する100%天然素材です
抽出後に何か防腐剤や抗菌剤を入れることはありません
では化学反応ではなく雑菌で劣化することはないのでしょうか
一概には言えませんが、精油は多くの種類が制菌性をもっています
ですので精油内で菌が繁殖することは普通は可能性が低いです
さらに製油は水には溶けない性質を持っています
つまり水分を含みません
水蒸気で抽出する際、一部水分が混ざる可能性はありますがそれもわずかです
菌は基本的に水分がないと繁殖できません
よい例がジャムやはちみつです
これらは水分が少なく濃度が高いため常温でも腐りにくい食品です
ちなみにはちみつの水分量は20%弱です
雑菌で匂いが変わったり、極端な例でカビが生えたりした場合は、むしろそれはエッセンシャルオイルではなく何か混ぜられていた可能性が高いと思われます
販売されている商品にエッセンシャルオイル以外の物が混ぜられているのは論外ですが、ご自身でトリートメントやクリームを作られる場合はお気を付けください。
防腐剤が入らないので温度の高い部屋に置くなど油断するとカビが生えます。
単に水が入るだけでもカビが生えることはあります
適切な保存状態でぜひアロマを楽しまれてください