【ワインの香り成分をひも解く】ワインがお好きならアロマもきっと好みに合いますよ

食とアロマ
フランス アルザスの家
フランス アルザス

ワインがお好きな方は味はもちろん香りも楽しんでおられると思います。
ワインもアロマもどちらも植物100%の天然の香りです。

発酵するのかそうでないのか、の違いはありますが元の素材が同じ植物ですから香り成分も似ていたりします。

植物ベースで多くの人を魅了する香り成分のグループはある程度絞られます。
赤ワインがお好きな方は香りも楽しまれるので、きっとアロマにもご興味をお持ちになると思います。
実際どの様な香りが似ているのでしょうか。

今回はワインとアロマの香りの共通点を中心にお話し致します。

もくじ

ワインの香りはどこから
赤ワインのピノノワール
 ・フランス ブルゴーニュ
 ・北海道 余市
◆ ①ブドウそのものからの香り

 ・リナロール
 ・ゲラニオール
◆ ②発酵することによる香り
 ・芳香族アルコール
 ・エステル類
◆ ③保存熟成による香り
 ・オイゲノール
 ・ラクトン類
ワイン愛好家ならアロマもお試しを
 ・人を魅了する多様な香り
 ・香り成分はアルコールに溶ける
 ・香りとテイストはセットです
 ・ワインでアロマテラピー

ワインの香りはとても多くの香り成分からなっています。
その多様な香りは主に3つのプロセスから作り出されています。

① ブドウそのものからの香り
② 発酵することによる香り
③ 保存熟成による香り

アロマで使われる精油は単に植物より抽出される香り成分です。
ですがワインの場合②③のように発酵、熟成のプロセスが加わります。

それでもアロマ精油もワインも100%植物より作られる天然の香りです。
全く同じ香り成分でなくとも同じグループに分類される香り成分は数多くあります。

この3つのステップに沿ってアロマとワインの香り成分を比べてみます。

ワインのもとのブドウの種類が多くなればそれだけ香り成分の種類は増えます。
ですので今回は一種類のブドウ品種から作られる赤ワインを対象に比べます。

一種類のブドウ品種から作られる赤ワインと言えば、フランス・ブルゴーニュ地方でつくられる赤ワインが代表的です。
そこで作られるワインはピノノワールと呼ばれるブドウ品種を使います。

赤ワインがお好きな方であればブルゴーニュのピノノワールで作られる赤ワインはまず飲まれたことがあると思います。

ワインにお詳しくない方でもロマネコンティの名前を冠する赤ワインは聞かれたことがあるのでは。
ブルゴーニュは単一ぶどう種でつくらる赤ワインとしてはまず名前の挙がるブランド地域だと思います。

フランス

今回はこのピノノワールの赤ワインを念頭にお話ししたいと思います。

フランス・ブルゴーニュのブドウ畑
フランス ブルゴーニュのブドウ畑

少し話はそれますが日本でも世界で愛されるピノノワールの赤ワインを作っている地域があります。
北海道の余市です。

北海道の余市と言えばワインと言うよりウイスキーをイメージされる方が多いと思います。
余市のピノノワール赤ワインは欧州の予約の取れないレストランのワインリストにその名が並んでいます。

余市の気候は欧州の気候に近いです。
上に載せたイラストにも描きましたが、余市の北緯はワイン作りが盛んなフランス・ボルドーに割と近いのです。
それだけブドウ栽培に適した気候なのだと思います。

もちろん赤ワインにとってぶどうはとても大切でその香りも元のブドウに大きく左右されます。
天然植物からの香り成分の元ですから、アロマの精油と通じる部分です。

ピノノワールのブドウ由来の香り成分でよく名前に上がるのがフローラル系の香り成分であるリナロールゲラニオールです。

これらの香り成分は軽いので最初に感じる香りです。
精油では多くの種類に見られる香り成分ですが、赤ワインでも多くの種類に見られる香り成分です。

ラベンダーの香り分子としてよく名前が出ますが、フローラル系の代表的な香り成分です。
ばらのような象徴的な花カテゴリーと言うよりはハーブ系の小さな花の香り成分です。
この香り分子は多くの精油に含まれています。

同じくフローラル系の香り分子です。
リナロールに比べもう少しはっきりとした香りです。
ばらの精油を説明する時によく引き合いに出されます。
例えばゲラニオールを含むゼラニウムはバラのような香りも感じられる、と表現されたりします。

ラベンダー畑の風景

ピノノワールの発酵プロセスで生じる香り分子で代表的なグループが芳香族アルコールです。
なかでもフェニルエチルアルコールの名前はよく出てきます。

これは精油の中でも非常に人気の高いローズの精油に含まれる代表的な香り成分です。
つまりピノノワールの赤ワインが少しバラの香りをイメージさせるのはこの香り成分が寄与しています。
まさに精油のローズアブソリュートに多く含まれる香り成分です。

このフェニルエチルアルコールは水に少し溶けるため水蒸気で抽出するローズオットーの精油にはあまり含まれていません。
これについては別のコラムでご紹介しておりますのでご参考になさってください。

ピノノワールの発酵によるエステル類の香り分子と一致する精油の香り分子は中々見つかりません。
ですが精油でもこの種類の仲間成分は多く見られます。

この種類は発酵ベースの香りなため、花の香りに少し甘い香りが加わりフルーツを彷彿させます。

エステル類はラベンダー、ネロリ、ベルガモットなど精油では幅広く入っています
一方、イランイラン、ジャスミンなどそれなりに個性をもった精油にも含まれています。

オイゲノールは木の樽で熟成されるステージで現れます。
精油で代表的な植物としてはクローブです。

結構刺激的な香りですが、他の色々な香りと混ざると全体的な印象に厚みを持たせます。
この特徴を利用し、香水では隠し味的によく使われます。

ラクトン類は甘味を持った香りで果物によく含まれています。
まさにブドウにも多く含まれている香り成分です。

特に熟成ステージでラクトンの一つの種類が顔を出します。
アロマ精油ではジャスミンがよく引き合いに出されます。

やはりアロマ精油ではジャスミンは上品な少し甘い香りを漂わせます。

花とみつばち

繰り返しとなりますが、ワインの香りを生み出す成分はとにかく種類が多いとされています。
それをアロマの精油で説明することはもちろんできません。

ですがピノノワールを例にお話ししたように重なる成分は多くあります。
人を魅了する香り成分はどちらも似ているのだと思います。

香り成分はアルコールに溶けていますから一緒に立ち上がるアルコールと共にはっきりとした香りを感じとることができます。
アロマで使うディフューザーはいらないわけです。

ですのでワインの香りを楽しまれる方は、香り成分によるリラックス効果を無意識に実感されているのです。
それはアロマ精油でリラックス効果を楽しむのと基本的には同じです。

ワインの場合、同時にアルコールも吸い込むことになりアルコールに弱い人には香りの効果は半減するのかもしれません。

ワインに限らず食べ物のテイストと香りはいつもセットです。
鼻をつまんで食事をすると味が分からないことからも良く分かります。

ブドウの種類でテイストが変わるのと同時に香りも変わります。
つまり香りを嗅いでそのテイストをある程度推測することができます。

まさにワイン愛好家にとってこのプロセスがたまらないのではないでしょうか(笑)

ワインで香りを楽しまれるのであれば、やはりアロマ精油でもきっと香りを楽しんで頂けると思います。

アロマの精油で香りを楽しみながらリラックスするのと同じように、ワインのグラスを回しながらその香りを楽しむとリラックス効果があるのでしょう。
先にお話しした様に、ワインと精油では同じ様な香り成分が立ち上がりますので。

しかも合成香料ではなく天然素材ですから。

リラックス効果だけではなく精油と同じように脳内神経にも良い影響を及ぼすかもしれません。
実際ソムリエの海馬(かいば:記憶を司る脳内部位)は大きいとの文献報告があります。
以下の論文で紹介されています。

Structural and Functional MRI Differences in Master Sommeliers : A Plot Study on Expertise in the Brain   

 マスターソムリエの構造的、機能的MRIの違い:脳の専門性についてのパイロットスタディFrontiers in Neuroscience 2016年8月

ワインがお好きであればきっと香りにはご興味をお持ちだと思います。
それならば、是非アロマ精油も一度お試しになってください。

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