【アロマが睡眠の質を改善する】論文検証では7割以上の人達にアロマの睡眠効果が見られました

アロマの効果
レマン湖ほとりのスイス・ニオン
スイス レマン湖ほとりのニオン

睡眠に関し満足されている方はどの程度おられるでしょうか。
どちらかと言えばもう少し睡眠の質を上げたいとお考えの方のほうが多いのではないでしょうか。

アロマと言えばリラックス効果をイメージされると思います。
それならアロマで睡眠の質を高めることができるのでは?と思いますよね。

実際にアロマと睡眠の質について数多くの論文が発表されています。
今回は過去9年間の関係する論文501件を検索し要約した文献をご紹介いたします。

結論はアロマは睡眠の質を高める効果あり、です。

もくじ

紹介論文
検索された過去論文
結論
 ・アロマと睡眠の質
 ・効果量
ラベンダーの効果
アロマの施術方法

 ・芳香浴とアロママッサージ
 ・香り成分の体内滞留時間
アロマの睡眠以外の効果

まとめ
(ご参考)効果量について
 ・効果量の意味
 ・効果量の大きさ

Effect of aromatherapy on sleep quality of adults and elderly people: A systematic literature review and meta-analysis
成人と高齢者の睡眠の質に対するアロマテラピーの効果:系統的な文献レビューとメタ分析

2021年8月

出所:NIH(National Institutes of Health アメリカ国立衛生研究所)
National Library of Medicine (医療ライブラリー)

メタ分析とは、ある研究課題に関係する多くの論文を統計手法をもちいてまとめ、総合的な要約をすることです。
ある研究課題の成果をまとめることで、一つ一つの研究よりもさらに信頼性の高い結論を導くのが目的です。

検索期間:2011年1月から2019年12月
   8つの著名データサイトより検索 
検索本数:501件      
  うち、最終的に採用されたのは30件 
対象人数:1657人      
     30件の論文内の対象人数

選ばれた論文30件、対象人数1657人
でのアロマの実証結果です。

アロマの睡眠効果

☆ アロマは7割以上の人々の睡眠の質を高めました
☆ 8割以上の論文がラベンダーの精油を使っています
☆ 芳香浴よりアロママッサージの方がより効果がありました

検索された501件の論文より、内容が重なっているものや信頼性に欠けるものを除き最終的に採用された論文は30件です。
これらの論文がアロマを施術した場合、睡眠の質の改善効果があったと述べているのかどうか総合的にまとめています。

結果はアロマが睡眠の質の改善をもたらした、です。
その効果量は0.74です。

効果量0.74ってどのくらいなのでしょう

おおよそですが、アロマを受けたほうが受けないより効果があったとする人達の割合が76%くらいだった、というレベルです。

9年間の30件の論文を対象として、7割以上の方々に睡眠に関しアロマの効果があったと結論付けています。

これはなかなか頼もしい結果です。
効果量についてはこのコラムの最後に説明いたしております。

奥蓼科の美しい景色

この文献の中でラベンダーについてコメントがあります。

30件の論文のうち26件でラベンダーの精油が使われていたそうです。
アロマと言えばラベンダーをイメージされる方は多いと思いますが、やはりラベンダーは実力者です。

ラベンダーについての論文内のコメントは以下の通りです。

ラベンダーの主成分であるリナロールは心臓血管系を安定させ、体をリラックスさせ、血管を拡張し、神経系を調節することにより睡眠に影響する鎮静効果をもたらします。

まさにラベンダーのリラックス効果が睡眠の質を高めるということですね。

アロマテラピーの方法は過去論文によりそれぞれですが、芳香浴アロママッサージの2種類が採用されています。
そして今回の論文の結論として芳香浴よりもアロママッサージの方が効果が高かったそうです。

その理由として体内に香り成分が留まる時間について説明があります。

芳香浴の場合、香り成分はすぐに体内に取り込まれます。
論文内で紹介されている説明では、ラベンダーの場合吸引が始まり5分後には体内で香り成分が検出されるそうです。
そして18分後には濃度がピークに達しているそうです。
ラベンダーの場合5時間半くらいで濃度は1割くらいまでに減ります。

一方のアロママッサージの場合、体内への吸収に時間がかかり体外に排出されるまでに9時間程度かかるそうです。
つまりこの時間の差が、長く睡眠のメカニズムに作用するため芳香浴よりも効果が高いと説明されています。

花とみつばち

今回の論文の主な目的はアロマと睡眠の質についてですが、それ以外の効果についてもコメントがあります。

アロマテラピーは睡眠の質の改善だけではなく、ストレス痛み不安うつ病にも大きな効果があったそうです。

残念ながら疲労に関しては顕著な効果はみられなかったそうです。
コメントでは、疲労は肉体疲労と精神疲労があり対象となった論文ではその区別がなかったのでさらなる調査が必要だと説明しています。

多くの論文がアロマが睡眠の質を改善することを支持しています。
しかも7割以上の方々に効果を認めています。
中でもラベンダーが一番多く使われていますので、ラベンダーの香りが苦手でなければ一度お試しください。

芳香浴の方が手軽ですが、もし可能であれば精油でトリートメントオイルを作られた方がより効果があがるようです。
トリートメントオイルの作り方は別のコラムでご紹介しておりますのでご参考になさってください。

ラベンダーポプリで簡単にとても良い香りのトリートメントオイルが作れます。

普通に精油(エッセンシャルオイル)を使ったトリートメントオイルは次のブログで。

今回の論文に限らずアロマのリラックス効果によって睡眠へ良い影響が見られる、と述べる論文は多く見受けられます。
一度アロマをお試しください。

ローズマリー

最後にこのセクションは今回の論文で使われている効果量についてお話いたします。
アロマと睡眠については関係のないセクションですので、ご興味のある方へのご参考パートです。

今回の論文では過去30件の論文を調べているわけですが、それぞれアロマの効果を調べる方法は違います。
また対象となった人数や地域もバラバラです。

このように違った結果を同じ目線で比べるために、分かりやすく一つの数字で表した結果効果量です。
色々と行われた実験結果の違いの度合いや関係性の度合いが一つの数字で分かるのが効果量です。

例えば2つの論文があったとします。
A論文はアロマの睡眠効果はほんの少し
B論文はアロマの睡眠効果は割と大きい
と結論を出しているとします。

この2つの論文では何となくアロマは睡眠効果がありそうだけどどのくらいかちょっと分からないですよね。
もしAの対象者が30人でBの対象者が100人だと、なんとなくBの結果を信じたくなりますね。
ですが逆だとあまりアロマは効果はないのかな?となります。

そこで2つの論文の詳細データを処理することでアロマと睡眠の関係は0.7です、の様に効果量を計算します。

今回の論文では効果量を0から3の範囲で表す方法を採用しています。

効果量意味
0.2-0.5小さな効果量
0.5-0.8中程度の効果量
0.8以上大きな効果量

今回ご紹介した論文の効果量は0.74ですからほぼ0.8に近くアロマの睡眠効果はかなり高いと言えます。
もう少しご参考になる数字を述べておきます。

効果量違いの程度
0.257.9%
0.569.1%
0.878.8%

「違いの程度」とは、この論文のケースだとアロマを使った場合と使わなかった場合の差がどのくらいあったか、というように当てはめて考えることができます。

表では%になっていますが、これは
アロマを使わなかったグループ平均値を
アロマ使用の人達がどれだけ上回ったのか

その割合を示していると当てはめて考えることができます。

ちなみに効果量が0.7で違いの程度は75.4%ですから、今回の論文の効果量である0.74はかなりアロマの睡眠効果が高いと言えます。

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