【香水デビュー:レジェンド香水と香水の大分類】香水デビューを考えておられるのならまずは全体像を

アロマの選択
フランス モンサンミッシェルの教会
フランス モンサンミッシェル

香水はほんとに多くの種類がありますね。
これから香水を検討しようと思われる方には雲をつかむような感じかもしれません。

しかも服のように写真で見てある程度決めれるものではありません。
実際に香りを確認しないと始まりません。
日本酒やワインの銘柄を選ぶケースに似ていますね。

そこで今回は香水デビューを考えられている方に香水の大きなグループ分けとその代表的なレジェンド香水についてご紹介いたします。

もくじ

5つのカテゴリー
 ☆大きな分類
 ☆女性向け香水
 ☆男性向け香水
レジェンド香水
ケルンの水(4711)

 ☆香水文化の始まり
 ☆香りの特徴
シャネルNo5

 ☆王道の花の香り
 ☆アルデヒド
 ☆香りの特徴
タブー

 ☆アジアンテイストの香り
 ☆香りの特徴
 ☆個性豊かな香り
コティ・シプレ

 ☆レジェンド名香
 ☆香りの特徴
 ☆香りのアコード
 ☆オークモス
 ☆全体のイメージ
フゼア・ロワイアル

 ☆フゼア調とシプレ調
 ☆香りの特徴
 ☆クマリン

バスケットのラベンダー

香りは人により感じ方がまちまちです。
更に難しいのは色のように誰が聞いても同じイメージが浮かぶ香りの言葉が少ないことです。

ですので個別の香水だと人により感じ方が違い、特に最初は細かい分類に目を向けるのはあまり意味がないと思います。

そこでお勧めしたいのが、ある程度大きなグループで香水の種類や特徴をつかんでおくことです。
大きな括りだと多くの方が共通で感じる傾向をつかむことができます。
そして大きな括りで種類を理解しておくと香水を選ばれる際に勘が働き役に立ちます。

そこで大きな括りですが、これも決められた基準があるわけではありません。
一般的には次のように大きく分類されることが多いと思います。

① シトラス調
② フローラル調
③ オリエンタル調
④ シプレ調
⑤ フゼア調

特に②フローラル調④シプレ調⑤フゼア調は香水の中核をなすカテゴリーです。

シプレ調とフゼア調についてはそれぞれ別のコラムでお話していますのでご参考になさってください。

全ての香水の半分程度を占めるのがフローラル調です。

フローラル調は、ローズジャスミンなど王道の花の香りが軸となる香水です。
そしてフローラル調は女性向け香水の中で最も人気があります。

そもそも女性向け香水の数は男性向け香水の2倍に上るため、女性人気が高いフローラル調はとても種類が多くなっています。

一方でフローラル調はほぼ女性向けで男性向けはほとんどありません。

あと④シプレ調も主に女性向けの香水として発展してきました。
シプレ調はフローラルの香りに柑橘系やオリエンタルな要素も足される香りです。

一方男性向けで種類が多く人気があるのは⑤フゼア調です。

柑橘系の香りにラベンダーを代表とするハーブフローラルの柔らかい香りが続き、それを包むように森林系の香りが漂います。

女性向けに比べシャープでクールなイメージです。

なお、女性向け、男性向け、それぞれどの様なグループの香水に人気が集まっているのか、データを別のコラムでご紹介しております。ご参考になさってください。

それでは5つのそれぞれのカテゴリーはどの様な香りなのか、各カテゴリーのレジェンド香水と供にお話し致します。

ローズマリー

それぞれ5つのカテゴリーには歴史的にインパクトを与えたレジェンドと呼ばれる名香があります。
それらについてご紹介いたします。

どの香水も多くの人々を魅了しただけではなく、多くの調香師も魅了しました。
調香師はこれらの香水を手本にし、さらに独自の作品に挑んできました。

表をご覧になってお気付きかもしれませんが、中にはこの香水名がカテゴリーを表す名称として使われるまでになっています。
まさに香水の歴史に大きな影響をもたらしたレジェンド名香であったのです。

それでは簡単に5つのレジェンド香水についてお話致します。

ケルンの水

現在の香水文化が広まる切っ掛けともなった名香です。

他の4つのカテゴリーは合成香料で作られますが、ケルンの水は天然のエッセンシャルオイルから作られました。
ケルンの水は1792年に誕生したのですがその当時はまだ合成香料は存在していませんでした。
つまり現在に続く数多くの香水はまだ誕生していなかったのです。

ナポレオンが愛用しフランス軍と共に彼が広めた面もあります。
ナポレオンは今で言うインフルエンサーだったわけです。

ケルンの水の人気に誘われる様に香りをデザインする調香師が育ち今の香水文化へとつながってゆきます。

それを象徴するように、オーデコロンの名前は”ケルンの水”をフランス語読みしたものです。
一つの商品が一つのカテゴリー名に昇華したことからもケルンの水がレジェンド名香であることが分かります。

この香水の特徴はまず最初に香る柑橘系の爽やかさです。
今でも柑橘系の香りは多くの人に愛され人気ですが、当時より人々を魅了した香りだったわけです。

男性の方で香水デビューを考えておられるのなら管理人としてはこの香りは必ず確認して頂きたいと思います。
柑橘系なので香りは早く飛びますが癖がなく万人受けでお勧めです。

ケルンの水にご興味があれば次のコラムをご参考になさってください

 さらにケルンの水のレシピにご興味があれば次のコラムをご参考になさってください。

ローズマリー
シャネルのシャネルNo5

最も広く知られている香水ですね。

フローラル系の王道の花の香りはもちろんですが、特徴的なのはアルデヒドが加わり少ししっとりとした甘さが入っていることです。

ですのでフローラル・アルデヒド調とも呼ばれ花の甘さが特徴的です。
更にオリエンタルなイメージを伴うムスクの甘い香りも含んでいます。

王道の花の香りとはローズジャスミンミュゲ(すずらん)などですがこの香水には南国の花をイメージさせるイランイランも使われています。

まさにブーケと言いますかお花畑の中にいるような華やかさです。

アルデヒドとは香りの分子を表現する化学式のアルデヒド基から来ています。
香りを特徴付ける化学式の中に官能基と呼ばれるパーツがあります。
アルデヒド基はその中の1つです。

シャネルNo5のアルデヒドは少し湿った感じの甘さをもたらします。

シャネルNo5のホームページには次のように簡単に香りの種類が述べられています。

トップノートにネロリ、
さらにローズとジャスミンがハーモニーを奏でます
それらを包む様にアルデヒドが全体に香ります 

これはいくつか種類のあるシャネルNo5の中で最も濃度の高いパルファムについてです。

アロマを愛用されている方ならお分かりだと思いますが、ネロリ、ローズ、ジャスミンはエッセンシャルオイル(精油)の中で最も高価な香りです。 

花の甘い香りは落ち込んだ気持ちを持ち上げてくれメンタルに作用するとても人気のあるエッセンシャルオイルです。
実際ローズのエッセンシャルオイルはその香りで幸福感をもたらす効果があります。
ローズの香りを試されている時、多くの方は表情を和らげ、そして笑顔になられます。
それこそがローズの香りの効用です。

これら超豪華な香り成分を惜しみなくメインキャストに使うところがまさにレジェンド香水と呼ばれるシャネルNo5の揺るぎない存在感のゆえんです。

繰り返しとなりますがこれらの王道の花の香りに化学組成の少し重い甘さのアルデヒドも加わりますので、あまりにも華やかで日本人の特に若い女性には少し重い感じがすることもあるようです。

香水文化が花開いた欧州だからこそ多くの人達に愛されてきた面はあるかもしれません。

ラベンダーにとまるみつばち
ダナ社のタブー

オリエンタル調の代表的なレジェンド香水ですが、
そもそもオリエンタル調ってどんな香り?
とイメージがつきにくいと思います。

「オリエンタル」の言葉の通り欧州に比べアジアのスパイス系や神秘性を彷彿させる香りに対して付けられました。

そもそも香水は欧州発祥の文化ですから、アジアンテイストの香りには「オリエンタル」という言葉を当てはめたのだと思います。

さて、現在のダナ社のホームページに香り成分が載っています。

トップノートイタリアンベルガモット レモンオイル
ミドルノートブルガリアンローズ イランイラン ジャスミン
ベースノートパチュリ オークモス ベンゾイン アンバー ムスク

もともと当初のタブーはカーネーションやクローブも使われていたようですが、今のホームページでは載っていないですね。

ベルガモットなどの爽やかな柑橘系が最初に香るのですが、ミドルノートの花の香り、更には最後のベースノートがそれなりにアジアンテイストを醸し出しています。

特徴的な香りも多く少し重い感じももたらします。

例えばミドルノートのイランイランは南国感溢れるオリエンタルな香りですがとても自己主張する花の香りです。

またベースノートのパチュリは香水にはなくてはならない香りをまとめる隠し味的役目を果たしますが、それなりに個性的な香りでもあります。

オリジナルのタブーはこの個性的なパチュリをとても多く使ったことがポイントでした。
ちなみにパチュリは結構好き嫌いがはっきりと分かれる香りでもあります^^:

一番香りが残るベースノートとして湿った感のあるオークモスと甘いベンゾインムスクが少し重い印象をもたらします。

また樹液が基になるアンバー(琥珀)やベンゾインなどは香(こう)として寺院で燃やして使われたりしますので、まさにオリエンタルなイメージをもたらします。

オリエンタルで少し甘さを伴う香りはセクシーさにも繋がり、特に香りが残るベースノートのアンバーなどはこの香水の余韻を特徴付けています。
このベースノートの重さもあり香水の中では最も残香性があります。
つまり香りの持ちは良いのですが何度かお話しているように少し重い印象は残ります。

花とみつばち
コティ社のコティ・シプレ

まさにレジェンドの名にふさわしい香水です。
1917年にコティ社より発売されたのですが残念ながら今は生産されていません。

ちなみに現在のコティ社はグローバルベースでフレグランス業界をコアとする巨大企業で多くの有名ブランドとライセンス契約を結んでいます。
まさに現代のフレグランス業界の巨人です。

現在の香水を語る上でシプレ調を外すことはできません。
そしてこのシプレ調の名は、コティ社のシプレと名付けられたこの香水から称されています。

一つの商品名が一つのカテゴリー名に昇華するくらい多くの人々に愛され多くの調香師が手本にした香りです。

「ケルンの水」は一つの商品名がフランス語読みされ「オーデコロン」と一つのカテゴリー名に昇華しましたが、その例と同じです。

この後にご紹介するフゼア調もそうですが、シプレ調はその他のカテゴリーとは違い幾つか香りのグループを組み合わせ時間と共に表情が変わる複合的な香りを表現するカテゴリーとして呼ばれています。

この様に色々なグループの香りの組み合わせをアコードと呼んでいます。

例えばシトラス調と言えば柑橘系を
フローラル調と言えば花の香りを
と大きく一つのイメージで捉えることができます。
またオリエンタル調も幾つかの香りの種類が使われますが、香りの全体感として「オリエンタル」という一つの言葉でイメージが伝わります。

これらとアコードによる香りのハーモニーを生み出すシプレ調は区別されるわけです。

先にお話しした通り今では手に入らないので実際の香りを確認することはできません。
ですがシプレ調と呼ばれる様になったその原型は次の様なものです。

シトラス系ベルガモット
フローラル系ジャスミン ムスク
ウッディ系オークモス パチュリ

ポイントは香りのイメージが
シトラス ▷ フローラル ▷ ウッディ
と組み合さり変化することです。

もちろんレシピは公開されていませんが、当時より20種類以上の香り成分を使い作られていましたので、実際にはこの表の香り成分よりも多くの香料が使われています。

シトラスやフローラルの香りも大切な役割を果たすのですが、特に先にお話しした②フローラル調と異なるのはウッディ系の存在です。

ウッディ系はフローラルの甘い香りに対し森林系の清涼感や土や葉の少し湿った感じをもたらします。
この香りが組み合わせるとフローラル系の花の香りにスパイシーで神秘的なイメージが加わり、さらに奥の深い重層的な香りとなります。

シプレ調のフローラル系は王道の花の香りが基調でエレガントな印象をもたらしますが、それにウッディ系の森林の香りによりさらに落ち着いた上品な香りへと引き上げられます。

ウッディ系の中でもシプレ調で必ず挙げられるのがオークモスです。

天然香料でシプレ調、フゼア調では必ず使われます。
まさに苔で森林系の香りなのですが人体に対するリスクが懸念され香水へは0.1%未満の使用に制限されている天然香料です。

ただ香りが強いので少ない量でも存在感を示します。

スモーキーで土や葉の香りからまさに森林の自然に近いイメージにより香水のエレガントさを引き上げ少し官能的でセクシーなイメージももたらす要因にもなっている香りです。

最初に柑橘系のベルガモットの香りで、たちあがりは爽やかな印象です。

そしてフローラル系では王道のジャスミンだけではなくムスクも使われるので少し重い甘さの花の香りです。

最後に香りが残るベースノート系の香りですが、レジノイド系(樹液が元の樹脂などから採れる香料)の甘く温かい香りも含まれるのでオークモスとあいまり深みのある香りが続きます。

王道の花の香りの甘さだけではなく、樹液のしっとりとした甘さと苔の少し湿った草や土のグリーンな香りとの調和により、重層的で少し重みのある香りが残ります。

ただその後のシプレ調は色々な印象の香水が作られています。
シトラス ▷ フローラル ▷ ウッディの流れでどこに重みを置くのかによって印象も変わりますので今では幅の広いカテゴリーとなっています。

シプレ調は主に女性向けの香水が多いカテゴリーです。

例えば人気のミス・ディオールは、シトラス系からフローラル系の部分に重みがありどちらかと言えば重い印象ではないシプレ調です。
このミス・ディオールはシプレ・フローラルとも呼ばれています。

シプレ調って今一よく分からないなぁ~
と言った感じかもしれませんね^^;
シプレ調について代表的な香水も含め別のブログでお話ししていますのでご参考になさってください。

ラベンダー畑の風景
ウビガン社のフゼア・ロワイアル

実は先にお話ししたシプレ調とフゼア調は骨格となる香りのグループは似ています。
シトラス ▷ フローラル ▷ ウッディ
ですね。

少し乱暴な言い方になりますが、フゼア調よりさらに甘く重いイメージになるのがシプレ調です。
特に大きな違いはフローラル系の香りです。

フゼア調のフローラルはラベンダーが中心になることが多いです。
特にフゼア調の男性向け香水はラベンダーが主軸です。

ハーブフローラルの優しく柔らかい花の香りは王道のローズやジャスミンの華やかな甘さとは異なります。
そしてフゼア・ロワイアルもラベンダーが多く使われています

フゼア・ロワイアルのホームページに香り成分が載っています。

ヘッドノート
(アロマティック)
ベルガモット 地中海ハーブ ラベンダー カモマイル
ハートノート
(フローラル)
ロンデレティア ゼラニウム ローズ シナモン カーネーション
ベースノート
(ウッディ)
アンバー オークモス クマリン パチュリ トンカビーンズ クラリセージ

最初の爽やかなベルガモットから柔らかい花の香りのラベンダーが支配する中で、さらにクマリンの甘さとオークモスやパチュリの清涼感が他のカテゴリーとは明らかに異なる印象をもたらします。

華やかな王道の花の甘さではなく柔らかな甘さと森林のクールなイメージより、この香水からは男性向けの香水が発展することとなりました。

シプレ調から多くの女性向け香水が発展したのとは対照的です。
基本的に同じ様な香りの骨格を持ちながら、フローラル系やウッディ系の使い方の違いが出来上がりの印象を大きく変えています。

フゼア・ロワイアルを特徴付けているのはクマリンと呼ばれる香り成分です。

クマリンってどんな香り?
となりますよね。

桜の葉に多く含まれる香りです。
そう桜餅の香りに多く含まれています。
この甘くも葉の香りも漂う香りがシプレ調の花の甘い香りとは異なるトーンを与えています。

この香り成分であるクマリンが化学合成されたのを切っ掛けに最初に使われたのがこのフゼア・ロワイアルです。1882年のことです。

このようにフゼア・ロワイアルから発展した香水は他のカテゴリーの香水に比べクールな印象があり男性向け香水のカテゴリーでもありますので、男性の方で香水デビューをお考えであれば確認されてください。

フゼア調についてもシプレ調と同じようによく分からない面もあろうかと思います。
フゼア調について別のコラムで代表的な香水も含めお話ししていますのでご参考にされてください。

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