【よく分からない?フゼア調ってどんな香り?】香水を語るには外せないカテゴリーです

アロマの選択
UK メイフィールドのラベンダー畑にあるカフェ
英国 メイフィールドのラベンダー畑のカフェ

既に香水を使っておられる方ならフゼア調がどのような香りなのかご自身でイメージをお持ちだと思います。

ですが香水デビューを考えておられる方には「フゼア調って何だかよく分からない」と言った感じではないでしょうか。

フゼア調は1800年代に発売されたあるレジェンド香水がとても多くの人達を魅了したため、それをお手本に多くの香水が続き、その流れが大きくなって呼ばれるようになったカテゴリーです。

フゼア調は多くの調香師が挑戦してきたカテゴリーなので香水デビューをお考えなら香水の骨格を知る素材になると思います。
特に男性向け香水が多いカテゴリーですので男性の方は一度確認されることをお勧め致します。

今回はフゼア調についてお話致します。

もくじ

フゼア調の特徴
レジェンド香水フゼア・ロワイアル
香りのアコード
香りの骨格
 ☆香りの骨格
 ☆クマリン
フゼア調の有名な香水
 ☆カルバンクライン エターニティフォーメン
 ☆シャネル アンテウス
 ☆グッチ ギルティプールオム
 ☆ディオール ソバージュ

フゼア調の香りとはどのような香りなのでしょうか。

フゼア調は幾つかの香りのグループが組合されているので一言で表現するのは難しいです。
ですがよく言われるのがセクシーでスパイシーな香りです。

これはハーブ系の柔らかい花の甘さオリエンタルな香り森林の清涼感よりもたらされます。
かなりそぎ落とした表現ですのが詳細は後に渡します。

フゼア調の特徴をまとめると次の様になります。

・幾つかの香りのグループの組合せ
・ラベンダーの優しい花の香り
・クマリンの心地よい甘さ
・森林系の清涼感を伴う香り
・男性向け香水が多い

これを見ただけでは中々イメージに繋がらないと思いますが、頭に入れておくと実際に香りを試された時に役に立つと思います。

ではフゼア調の概要をお話ししてゆきます。

バスケットのラベンダー

フゼア調と言う名前はある香水から付けられています。
ウビガン社より1882年に発売されたフゼア・ロワイアルです。

ウビガン社のフゼア・ロワイアル

華やかな王道の花の甘さではなく柔らかな甘さと森林のクールなイメージをもたらす香りです。
このフゼア・ロワイアルはとても人気を博し調香師はこの香水を手本にその後色々な香水を作ったのです。
その流れよりフゼア・ロワイアルの名前を称しフゼア調と呼ばれるようになりました。

一つの商品名が香水の一つのカテゴリー名に昇華したわけです。

いかにフゼア・ロワイアルに注目が集まったのか想像に難くないですね。
フゼア・ロワイアルのホームページに香りの組み立てについて記載があります。

ヘッドノート
(アロマティック)
ベルガモット 地中海ハーブ ラベンダー カモマイル
ハートノート
(フローラル)
ロンデレティア ゼラニウム ローズ シナモン カーネーション
ベースノート
(ウッディ)
アンバー オークモス クマリン パチュリ トンカビーンズ クラリセージ

アロマティック ▷フローラル ▷ウッディ

この様に香りが時間と共に変化してゆきます。
なかでも最初のアロマティックにあるラベンダーがこの香水のキーになっています。
このハーブフローラルの柔らかい花の香りが他のカテゴリーのはっきりとした花の香りの香水とは違うところです。

さらにもう一つ特徴的なのはベースノートに入っているクマリンです。
これは甘い香りではあるのですが葉の香りも伴い、単に甘いだけではないところがこの香水の印象を決めるキーになっています。

このように幾つかの香りのグループが組み合わさったところがこのフゼア・ロワイアルの特徴となります。

ラベンダー畑のみつばち

繰り返しとなりますが、フゼア調は一つの香りのグループでは表現できない香りのハーモニーが特徴です。

例えば、柑橘系と言えばオレンジやレモンの香りをイメージされると思います。
フローラル系と言えばローズやジャスミンなど花の香りをイメージされると思います。
つまり大きな一つのイメージで香りをとらえることができます。

一方フゼア調は一つの香りのクループで表現できず幾つかの香りのグループによるハーモニーが持ち味です。
このように幾つかの香りを調合し新しい香りの印象を創る組み合わせをアコードと言います。
このアコードによりさらに色々な香水が生まれることになりました。

フゼア・ロワイアルはコティ社のコティ・シプレと並びアコードを香水創作の主流に押し上げたのです。

ではフゼア調は、どのような香りのアコードを持っているのでしょうか。
フゼア調の香水は今やとても多くの種類があります。
ですので全てを同じ様に扱う事はできません。

先ほどご紹介したフゼア・ロワイアルのレシピにあるように
アロマティック ▷フローラル ▷ウッディ
この流れがフゼア調の香りの骨格です。

最初のアロマティックはフゼア調の特徴であるラベンダーのハーブフローラルベルガモットの爽やかさが印象的です。

続く花の香りですがハーブの香りも混ざり控えめな甘さです。

最後は樹液がベースのアンバー(琥珀)や苔の湿った土や葉の香りをもたらすオークモス、そして少しスパイシーなパチュリなどがクールな森林系の香りをもたらします。

フゼア調はクマリンが使われます。
フゼア・ロワイアルは化学合成されたクマリンを最初に使ったことで有名です。

ではクマリンとはどの様な香りなのでしょうか?
少し葉の香りを伴った甘い香りです。
身近なところでは桜の葉に多く含まれている香り成分です。

桜餅の香りのようなイメージです。
甘さに少し葉の香りが混ざる、と言うニュアンスがお分かりかと思います。

このクマリンはフゼア・ロワイアルに使われたことにより香水の中で重要な役割を果たすようになります。
オークモスやゼラニウムなどの組み合わせが甘くもクールな印象をもたらすフゼア調の流れを作るきっかけとなったのです。

ラベンダー畑の風景

やはり多くは男性向けです。
とても多くの種類がありますが、幾つか挙げてみます。

ハーブ系の清涼感が前に出てくるのでクールな印象の香水です。

ラベンダーの香りもそうですが、ゼラニウムやバジルがミドルノートで使われていることからもハーブ系のすがすがしいイメージが前に出ることになります。

このハーブ系の草木の香りはベースノートのウッディ系とも重なり相性はいいです。

ベースノートのウッディ系はお香にも使われるサンダルウッドや樹液からなるアンバー(琥珀)などの温かみにより、過度にシャープな印象に振られることなく仕上がっています。

香りに力強さとセクシーさを感じる香水です。
力強さは最初のレモンとライムの強く爽快な立ち上がりにあります。
さらにコリアンダーのスパイシーな香りも力強さをフォローしています。

一方ミステリアスでセクシーな印象は主にベースノートの香り成分がポイントとなっています。
ここではパチュリが使われていますがオークモスと相まりミステリアスでセクシーな印象をもたらします。

ちなみにこの香水を表現する際にレザーノートという言葉が使われる時があります。
レザーノートとはまさに革製品の香りですが、これなども渋さやセクシーさももたらします。
この香水ではパチュリがその役割の一端を担っています。

日光の遊歩道

フゼア調の香水らしく洗練された印象の香水です。

フゼア調の特徴らしくラベンダーが万人受けする心地よい香りをもたらし、最後のベースノートであるシダーウッドが森林系の少しドライなイメージを与え全体を引き締めます。

さらに特徴的なのはネロリやオレンジフラワーをフローラル系に使っているのでこの香水に高級感をもたらしています。

ちなみにネロリは女性にはとても人気のある香りでネロラーと言う言葉もあるくらいです。

シャネル社のアンデウスと同じように最初の柑橘系の立ち上がりが強く力強い印象があります。

アンデウスと違い立ち上がりに、フゼア調では王道のベルガモットを使っています。
さらにペッパーも使っていますのでスパイシーさが加わります。

フローラル系はこれも王道のラベンダーとゼラニウムを使っていますので華やかな花の香りではなく落ち着いたフゼア調らしい香りです。

ベースノートは樹液が元となる温かみやムスクのような少し甘さのある香りがアレンジされており全体として立ち上げりの力強さだけでなく包み込むような安心感ももたらします。

フゼア調はシプレ調と並びアコードがキーとなるカテゴリーです。
どちらも重層的な印象ですが、フゼア調は男性向けの香水が多いカテゴリーですので香水デビューを考えておられる男性の方は一度フゼア調を確かめることをお勧め致します。

シプレ調については別のコラムでお話ししておりますのでご参考になさってください。

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