
日本の夏はあまりにも暑くなっていますね。
体への負担はとても大きいです。
そして体だけではなく色々な所に影響が及んでいますね。
暑さによる自然発火もその一つです。
古くなった扇風機やエアコンからの発火報告などもあります。
2025年7月に独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE:ナイト)より、ある注意喚起が出ています。
アロマオイルが付着したタオルからの自然発火に注意、という内容です。
今回はどの様なアロマオイルが自然発火を起こしやすいのか、お話いたします。
◆ はじめに
◆ オイルの自然発火
☆ 酸素が結合して発火
☆ 高温環境が発火をうながす
☆ 10℃上がると発火リスクは2~3倍
◆ 自然発火しやすいオイル
☆ 自然発火原因の酸化し易いオイル
☆ 炭素同士の結び付き方の違い
☆ リノール酸 リノレン酸
◆ 注意すべきキャリアオイル
◆ まとめ
はじめに
今回のポイントは独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE:ナイト)からの注意喚起です。
ポイントは次の通りです。
・夏の高温環境ではオイルの自然発火に注意
・オイル付着のタオルを重ねて放置は要注意
・発火しやすいオイルの特徴とは
アロマ関連でオイルと言えばやはりキャリアオイルですね。
エッセンシャルオイルを溶かしマッサージオイルとして使いますね。
エッセンシャルオイルもその名前や特徴からオイルと思われがちですが、正確にはオイルではありません。
そこで今回のお話は、キャリアオイルによるアロママッサージのタオルについての注意喚起です。
オイルの自然発火
☆ 酸素が結合して発火
そもそも火を使わないのにどうして発火するのでしょうか?
最初にご紹介したNITEでも説明があるように、オイルが空気中の酸素と結び付くことが引き金になり発火します。
まさにオイルの酸化ですが、この時発熱が生じます。
その発熱が重なってゆくことで、火種がなくても自然発火につながります。
☆ 高温環境が発火をうながす
冬ならよいのですが、夏はただでさえ高温環境です。
特に最近の夏は異常です。
そのような高温環境でオイルが付着したタオルを重ねていると要注意です。
酸化による発熱が重ねたタオルの中でこもることになります。
まるでオーブンのようですね。
実際オーブンのような状態が見られるのが乾燥機です。
自然発火の報告がよくなされるのも乾燥機にまとめて入れられたオイル付着のタオルです。
☆ 10℃上がると発火リスクは2~3倍
NITEによると、当然温度が上がると自然発火のリスクが上がると報告しています。
正確には温度が上がると酸化速度が上がるということです。
温度が10℃上がると、オイルが酸化する速度が2~3倍になるそうです。
先ほどお話した乾燥機内での自然発火が起きやすいのも当然ですね。
自然発火しやすいオイル
ではオイルの種類によって自然発火に違いがあるのでしょうか?
はい。
自然発火しやすいオイルには特徴があります。
☆ 自然発火原因の酸化し易いオイル
先にお話しした通り自然発火はオイルが酸素と結び付くことで始まります。
つまり酸化しやすいオイルが自然発火しやすいオイルです。
では酸化しやすいオイルとはどのようなオイルでしょうか。
それはオイルを構成する炭素 ”C” の結び付き方に特徴があります。
☆ 炭素同士の結び付き方の違い
オイルはとにかく大きな分子で炭素を多く含みます。
その炭素と炭素のつながりは普通は一本の手でつながっています。
ですがオイルの種類によっては炭素と炭素が2本以上の手でつながっているケースがあります。

例えば上図のAとBをご覧ください。
この二つはある分子の形です。
Cが炭素でHが水素です。
Aは1本、Bは2本の手で繋がってます。
2本以上の手で繋がっているととても強い結合のように思えますね。
ですが酸素が近づくと簡単に1本を残し酸素と結び付いてしまいます。
つまり炭素が2本以上の手でつながっているオイルは酸化しやすいのです。
脂肪酸の分子はとても大きく、図のような分子の塊が数多くの炭素Cを横に並べる様に連なっています。
つまり炭素の数が多く、それだけ結合点も多いわけです。
すると2重結合の箇所もあったり無かったりさまざまです。
☆ リノール酸 リノレン酸
このように2本以上の手で炭素がつながっているオイルを不飽和脂肪酸と呼びます。
2か所以上の二重結合を持ち酸化しやすい脂肪酸です。
具体的にはリノール酸やリノレン酸がそうです。
植物油でもよく聞かれると思います。
これら脂肪酸は酸化しやすいものの、健康には良いとされているので植物油のうたい文句として登場しますね。
ただ酸化しやすいので取り扱い注意で、実際古くなってくると嫌な匂いになってますね。
例えば健康にとても良いと言われるクルミ。
クルミのオイルは不飽和脂肪酸です。
ですので古いクルミを食べると明らかに味が悪くなってますよね。
一方全ての炭素が一本の手でつながっているオイルは飽和脂肪酸と呼びます。
こちらは酸化はほとんどないので化粧品にもよく使われます。
詳しくは以下をご参考にされて下さい。
注意すべきキャリアオイル
では実際に注意すべきキャリアオイルはどれでしょうか。
二重結合を多く含む不飽和脂肪酸に分類される代表的なキャリアオイルとしてよく挙がるのは次の4点でしょうか。
アルガンオイル
グレープシードオイル
スイートアーモンドオイル
セサミ(ゴマ)オイル
アロママッサージオイルでよくマッサージをされる方にはお馴染みのキャリアオイルだと思います。
特にこれらのオイルは肌触りがサラッとしているのでマッサージにはもってこいです。
不飽和脂肪酸はオイルの中では乾燥性を持っているためサラッとした肌触りとなります。
一方の飽和脂肪酸はあまり乾燥性を持っていないため肌触りが少し重くしっとりとしています。
ですのでマッサージとしては不飽和脂肪酸の方が好まれると思います。
上に挙げた4つのキャリアオイルはマッサージオイルの定番とも言えます。
せっかくの肌触りですが酸化しやすいのが難点です。
そのためタオルに付着し、酸化、自然発火に繋がり易いわけです。
まとめ
夏の高温状態ではアロママッサージオイルが付着したタオルの重ね置きは要注意です。
オイルが酸化を繰り返し自然発火リスクが高まります
自然発火リスクの高いオイルは不飽和脂肪酸を多く含みます
アルガンオイル グレープシードオイル スイートアーモンドオイル セサミ(ゴマ)オイル
これらの取り扱いは要注意です。