人は食事を単に生きる糧とはしていません
人は食事を楽しみの一つとしています
これは人の特権のようなものです
人以外は恐らく味わいを感じていません
もちろん味は分かっていますが
そのポイントは嗅覚にあります
えっ!人より犬の方が嗅覚鋭いけど。。
と思いますよね
ですが食に関しては犬は宝の持ち腐れです
どう言うことでしょう(笑)
今回は食の味わいと嗅覚についてです
◆ 味覚と嗅覚はセットです
◆ 食事を楽しむ味わい
◆ たち香とあと香
◆ 味覚と嗅覚の感覚信号の違い
・とにかく香りの信号はダイレクトです
・味覚信号はいくつかの部位を通ります
◆ 余談ですが言葉を話せるとは
味覚と嗅覚はセットです
食事中の味は舌で感じていますから、嗅覚も、と言われてもほんと?となりますね
味は口の中の話で鼻ではないでしょ、と。
確かに味そのものは舌で感じているのですが、食べている物の味わいが「美味しい」とか「まずい」とかの判断は舌では分からないのです
香りの情報と一緒に脳神経で判断されているのです。
鼻を摘んで食べている時に、その摘んでいる手を離すと味わいが大きく違ってくると思います
その違いは嗅覚が働いているか働いていないか、の違いになります
食事を楽しむ味わい
実は食事の味わいを楽しめるのは人間の特権と言われています
それは人の鼻と口の構造が、サルを含めた他の動物と違うからです
サルや犬の場合、呼吸と食事の通り道は別々です
一方人の場合、呼吸による空気の通り道と食べ物の通り道が喉の奥で交わります。
これがどうして味わいの差になるのでしょう
それは人は食べ物を噛んでいる時に、その香りを喉の奥からもう一度鼻の奥で感じることができるからです。
つまり、食事を味覚と嗅覚の両方で楽しむことができるのです
例えば犬にご飯をあげた時、あっと言う間に食べてしまいますよね
それこそ5分もかからないくらいで
恐らく食べている時の味わいを楽しむことができないのだと思います
それに呼吸と食事が別の道なのでむせることもないのですね
呼吸しながら食事ができるわけです
たち香とあと香
人が食べ物を噛んでいる時に感じる香りは、食べ始める時の香りに比べ、より味わいに大きく影響します
なので香りの呼び方は区別されています
・たち香・・鼻先から香る食べ物の香り
・あと香・・食べ物を咀嚼した時の香り
「あと香」は気管から戻る空気の流れに乗り、鼻腔の香りセンサーに届きます
まさに喉の奥で空気と食べ物の道が交差しているからです
ビールはのど越しで味わう、と言いますが普段の食事でも常に「あと香」は感じられているのです。
この「あと香」を感じる事ができるので、人は食事の楽しみを堪能できるのです
まず食べ物をかみ砕くことで更に香りが立ちます
さらに唾液が混ざると酵素の働きで食品に隠れていた新しい香りが立ち上がることもあります
たとえばワインを口に含んだ時にその事例が確認されています
たち香に比べ、あと香は色々な香りが混ざり複合的になります
つまり香りに厚みや深みが出ます
これが脳神経に信号として送られ、最終的に美味しい、まずい、の判断がなされます
そして記憶に刻まれてゆくのです
味覚と嗅覚の感覚信号の違い
味わいに嗅覚が重要なのは脳神経に送られる感覚信号の違いにもあります
香りの信号は脳に直接伝わり記憶される
味覚の信号は幾つか経由して記憶される
とにかく香りの信号はダイレクトです
ほぼ直接的に脳神経に届きます
しかも本能にかかわる部位に
この辺りの説明は「アロマの効果」をご参考になさってください
ほぼ直接的に、と言うことは間に関わってくる部位がほとんどない、と言うことです
間に色々な部位が通ると、どうしても元の信号が少しづつ変わってきます
ちょうど伝言ゲームと同じです
ですので食事の香りはかなり正確に脳神経に送られ記憶に刻まれることになります
味覚信号はいくつかの部位を通ります
一方の味覚の信号は記憶の部位に届くまでいくつかの部位を通過します
まず延髄を通り、そのあと大脳皮質に送られます
大脳皮質は人間らしい意識がやどる物事を考える部位です
本能の部分とは異なります
延髄から送られてきた味覚信号は大脳皮質内で、さらに一次、二次の味覚を感じる部位を通ります
そしてその後、味の記憶として記憶の部位(海馬)に送られます
ですので海馬にくるころには元の信号も影響を受け、よほど印象的な味でないと、甘すぎる、辛すぎる、好きな味、嫌いな味、くらいの情報になっている可能性があります
香りは食事を美味しく味わうには大切な情報であるわけです
幸いにも嗅覚神経は珍しく生まれ変わることができます
つまり鍛えることができるのです
アロマで嗅覚神経を鍛えると食事もさらに美味しく頂けますよ
嗅覚神経を鍛える話は次のコラムをご参考になさってください
余談ですが言葉を話せるとは
嗅覚の話ではないのですが。。
人が言葉をあやつれるのは、喉の奥で呼吸と食事の道が交わっているからです
呼吸の道が口につながっていないと、楽器の様に吐く息で口の中で音の変化をつけることはできません。
更には舌で微妙な音の違いを作り出すこともできません
犬の知能は人の1~2歳程度はあると言われています。
ましてやサルだとそれ以上でしょう。
だとすると人の様に言葉でコミュニケーションを取れてもおかしくないように思えます
ですが、知能の問題よりもそもそも身体の仕組みとして言葉をあやつれるほどの細かい音の変化を出せないのです。
逆に人は食事をしていてむせることがあります
特に歳を取ると頻繁に起こります
死因の原因で誤嚥性肺炎をほんとによく見かけます
食事と言葉は人に与えられたとても高度な機能なのですね