嗅覚はあまり意識されませんが
五感の中で嗅覚は端に追いやられているようなところがあります
何と言っても視覚が五感の中でトップに君臨しています
人は物を考え高いレベルの意識を持っています
その素晴らしい特性を支えるのは言語でしょう
そして視覚と聴覚がそれを支えています
一方嗅覚は言語の世界とほとんど関わりがありません
嗅覚は意識の領域もさることながら、むしろ無意識の本能の領域によく働きかけます
特に体の状態を一定に保つ恒常性の部分に関わります
それだけに人は気が付いていないだけで嗅覚は体調管理にも影響を及ぼします
とても大切な機能なのです
そして香りをキャッチするセンサーは驚くほど精密です
どのくらい精密なのか?今回のテーマです
香りの世界はPPMの世界です
PPMと言われても・・と言う方がほとんどだと思います
PPMは100万分の1です
と、言われても・・
やはりイメージできないですよね。
2m×2m×2mの立方体
立っている自分を中心に前後左右1mづつの所に板が立っているとします
自分がちょうど証明写真のボックスの様な所に入っているイメージです
そして天井は高さ2mの空間を考えます
その中でスポイト1滴の精油をお湯に落とし拡散させるとします
この時の濃度が凡そ6.25ppmです
1PPMでも香ります
実際の部屋は2mの立方体より広いですよね
しかも6.25ppmは精油が全て拡散された場合です。
実際には部屋の様にもっと広くても、拡散が始まればすぐに香りを感じることができます
つまり1ppmレベルでも十分香りを感じることができます
そうです人の香りセンサーは100万分の1のレベルで香りを判断しているのです
そう言えば体内で働くホルモンもほんのわずかな量で働きますね
ホルモンの話は余談なのですが。。
例えば女性ホルモンの血中濃度の単位は
ng(ナノグラム 10億分の1g)または
pg(ピコグラム 1兆分の1g)です
香りの組み合わせも区別します
さらにもう一つ人の香りセンサーが優れているポイントがあります
それこそ無数にある香りの組み合わせにも対応できることです
精油には多くの種類の香り成分が含まれています
しかもその精油の種類を決定する香り成分が、全ての香り成分の1%に満たないケースも多くあります
特徴成分と呼ばれています
精油の種類を区別できると言うこと
例えばグレープフルーツを別の柑橘系のフルーツの香りと間違うことはない!
と皆さんは思っておられるでしょう。
ですが区別できるのが当たり前!!では決してないのです
グレープフルーツの香りを特徴付ける特徴成分(ヌートカトン)は、たったの0.1%しか含まれていません
その他の色々な柑橘系らしい香り成分が含まれていても、そのわずかな特徴成分を人の香りセンサーは認識するのです
色々な香り成分が混ざった状態で認識する
人の香りセンサー1つが、1種類の香りしか認識できないわけではありません
一つの香りに、いくつかのセンサーが反応します
なのでセンサーの数、イコール認識できる香りの数、
ではないのです
この仕組みのおかげで同時にいくつかの香り成分が混ざっていても全体としてその香りを認識できるのです
さきほどお話した1%にも満たない特徴成分が混ざっていても、PPMで感知できる精密さと相まって、その香りを知ることができるのです
ですので精油の主要な香り成分だけに脳神経が反応しているわけではないのですね。
とても細かい香り成分にまで脳神経は反応している可能性が高いのです
そうすると、天然素材の精油を完全にコピーできない限り合成素材は脳神経に相手にされない、ということになります
わずかな違いも脳は認識しますので。。