【香りはオイルに溶けます】香り成分をつかまえると料理の味わいを深めます。減塩のヒントにもなります。

食とアロマ
ドイツ・メーアスブルクの消火栓
ドイツ メーアスブルク(Meersburg)の消火栓

料理をおいしく、味わいを深めるキーの一つは香りです。

香りを上手く閉じ込めると、料理を口に運んだ時により深くその味わいを楽しむことができます。

そしてその香りをつかまえてくれるのがオイルです。
オイルで香りをつかまえ味わいが増すと余分な調味料、特に塩分を控えることもできます。
香りは料理のおいしさを決めるほど影響が大きいので、逆に香りをつかまえておけば必要以上のお塩は使わなくてすみます。

今回は、香りとオイルについてのお話しです。
なお、味わいと香りの関係については次のコラムをご参考になさってください。

香り成分はオイルに溶けます

香り成分であるエッセンシャルオイル(精油)はオイルの名が付いていますが、正確にはオイルではありません。

それでも特徴はオイルに似て、エッセンシャルオイルは水には溶けません
逆に油には溶けます

このオイルと香り成分の親和性を使うと料理に活かすことができます。
つまりオイルに香りを移すことができます

オリーブオイルに香りを付ける

分かりやすい例ではオリーブオイルとニンニクの組み合わせがあります。

レシピ本でよく見かける「フライパンとオリーブオイルがよく温まれば、細かく刻んだニンニクを入れよくその香りをオリーブオイルに移します」という文言があります。

まさにこれなどは、香り成分がオイルによく溶ける特徴を利用しています。

オリーブオイルにニンニクとバジル、などはイタリア料理ではよく使われます。
イタリア料理がお好きな方は多いと思いますが、そのベースとなるオリーブオイルとニンニクの組み合わせは、香りをオイルに移すその工夫が活かされているのです。

オリーブオイルベースの香り付け

後ほどお話致しますが、オリーブオイルは熱に強く酸化しにくいので酸化による嫌な匂いを出しません。
ですので香りを重視して味わいを深めるにはオリーブオイルに香り成分を溶かすのは理にかなっています。
やはりオリーブオイルが食生活の中心にある南欧の使い方を見てみます。

ギリシャ風 レモンとオレガノ

オリーブオイル+レモン+オレガノ

このコンビネーションで鶏肉を焼くととってもおいしいです。
ギリシャではよく食される料理です。

レモンの様な柑橘系は何にでも合いますが、同じ柑橘系のオレンジもオリーブオイルとよく合いますよ。
適当にちぎったオレンジにほんの少し塩をかけ、あとオリーブオイルをかけて食べてみてください。
これはデザートではなくサラダ感覚です。一緒にレモンを皮ごと少しすりおろしてもおいしいです。

プロバンス風 ローズマリーとタイム

オリーブオイル+ローズマリー+タイム

これはオリーブオイルにハーブを漬け込んでおくシーズニングオイルです。
肉や魚を焼く時に使うと香りと共にとてもおいしいです

オリーブオイルに十分ハーブの香りが移っていますので、サラダドレッシングとして使うと口の中でいい香りが立ち上がります。

スペイン風 玉ねぎとトマト

オリーブオイル+玉ねぎ+トマト

これはもうトマトソースとしてスペインの定番ソースですね。

このソースは懐が深く色々なバリエーションを楽しめます。
玉ねぎと一緒にニンニクを入れて炒めてもよし、さらにトマトを入れて煮る時にローリエや黒コショウを加えてもよし、とご自身の好みに合わせて色々と味の変化を楽しめます。

出来上がったトマトソースは色々な料理との相性が良く、シンプルな卵焼きにもとても合います。

シーズニングオイルも重宝されます

オイルに香りを最初から溶かした調味料のシーズニングオイルも料理の味わいを増してくれます。
日本人にとても身近なのはラー油でしょうか。
菜種油に長ネギ、ショウガ、そしてあの辛味を出す唐辛子の香りを移した調味料ですね。

もう餃子のタレには欠かせないですし、麻婆豆腐にも使われますね。
先ほどお話したオリーブオイルにローズマリーの葉っぱ付き茎を漬けたシーズニングオイルもよく南欧では使われますね。

ラベンダーとみつばち

酸化しないオイルとは

言うまでもありませんが、オイルが酸化してしまうと嫌な匂いが出てきます。
ですので香りを取り込むオイルはできるだけ酸化しにくい種類を選びたいですね。

それにはやはりオリーブオイルが優等生です。
一方オメガ3でも有名な魚のオイルや亜麻仁油は体には必要ですが、とっても酸化しやすいオイルです。

オリーブオイルと亜麻仁油の違い

2つのオイルは酸化する度合いが異なります。
なぜそのような違いがあるのでしょうか。

それはオイルの炭素同士がお互いに2本の手で繋がっているか、お互いの1本の手で繋がっているかの違いで決まります。
お互いの2本の手で繋がっている部分を二重結合と呼ぶのですが、1本の手による結合の単結合より不安定です。

二重結合は炭素同士がお互いの両手で繋がっているので、単結合より強く安定しているように思えますが、ここに酸素が近づいてくると一本の手を離して酸素と手を結んでしまいます
これが酸化です。
オリーブオイルはこの二重結合の箇所が少ないので酸化しにくいのです。

逆に魚のオイルや亜麻仁油は二重結合が多いので酸化しやすのです。
鮮度を失った魚の匂いは誰でも劣化が進んだことが分かる匂いですね。

サラダオイルやごま油は?

料理ではオリーブオイルよりもサラダオイルの方がよく使われると思います。
また日本ではごま油もよく使われますね。
では酸化の度合いはオリーブオイルと比べてどうでしょうか。

サラダオイルもごま油もオリーブオイルよりも二重結合の数が多いので、オリーブオイルに比べ酸化はしやすいです。
ですが先ほどお話した亜麻仁油ほどではないので、加熱料理にも使われます。

ちなみにサラダオイルは菜種や大豆など色々な植物の種から絞った植物油が混ぜ合わさったオイルです。

バスケットのラベンダー

水と香りの成分 減塩のヒント

最初にお話しした通り、エッセンシャルオイルは水にほとんど溶けません。

ですので食材を茹でていると食材から出てきた香り成分はお湯に溶けることなく水面に上がり、結局どんどん逃げてゆきます。
つまりお湯には香り成分がほとんど残っていません

食材を煮る料理は、香り成分はなくてもビタミンやミネラルなど色々な栄養分はお湯に溶け込んでいますので、単なるお湯、では決してないのですが。。。

ですが香りが飛んでいるので、口の中ではさほど深い味わいを感じることができません。
そのため、味噌、醤油、塩などの味付けや、湯豆腐やラーメンの様な別途スープダシを作る必要があります。
つまり塩分を控えなければならない人にとって少しハードルが高くなります。

一方先に述べたギリシャ風やプロバンス風の香り付きオリーブオイルだとそれだけでも香りのおかで味わいがあり、塩分を控えなければならない方々へ減塩料理を作るヒントになります。

この様に香りに興味を持って頂くと食もさらに楽しむことができます。

・香りをオイルに移し味わいを深めて下さい
・酸化しにくいオリーブオイルがお勧めです
・味わいが深まれば塩分を控えられます

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