【論文報告:アロマが高齢者の記憶力を高めます】7種類の精油を一種類一晩づつ繰り返し使います

アロマの効果
英国湖水地方
イギリス湖水地方の風景

別のコラムでアロマが脳内で記憶を担当する海馬を成長させる話を致しました。
ポイントは、
・嗅覚信号が本能の部位に直接働きかける
・嗅細胞神経や海馬は再生成長する神経
であることです。

では高齢者でもアロマの効果は期待できるのでしょうか。
カリフォルニア大学60歳以上の高齢者を対象に検証したところ、アロマなしのケースに比べ2倍以上認知力アップの効果があったと報告しています。

今回はこの文献をご紹介致します。
この文献はどの精油を使ったのかも明記していますのでぜひご参考になさってください。

もくじ

アロマは高齢者でも作用します
 ☆ カリフォルニア大学の狙い
 ☆ 検証方法
 ☆ 結果
使われた7種類のアロマ
簡単に試せる記憶力アップの方法
 ☆ 高齢者でも実践できる臨床実験
 ☆ 入手しやすいアロマ精油
 ☆ ラベンダーポプリもお勧めです

ラベンダー畑の風景

アロマは高齢者でも作用します

カリフォルニア大学の狙い

年齢を重ねるとどうしても脳の働きも衰えてきます。
それは生活の質を脅かします。

そしてもっと恐ろしいのは脳神経の劣化による認知症です。
認知症の多くのケースは脳内の記憶を担当する海馬の損傷から始まります
海馬は記憶だけでなく、高度な認知作業のキープレイヤーであることも分かってきています。

カリフォルニア大学アーバイン校はこれまでも嗅覚と本能をつかさどる脳内部位の関係解明に力を入れてきた大学です。
香りの信号は直接海馬にも働きかけることが分かっていますので、カリフォルニア大学はアロマによって海馬を鍛え、認知力を改善する方法に着目したわけです。

特に今回の検証は、認知力がどうしても衰えてくる高齢者が、手間をかけずに簡単にできる方法を採用し、それで効果を確かめている点で大変興味深い検証だと思います。

Overnight olfactory enrichment using an odorant diffuser improves memory and modifies the uncinate fasciculus in older adults

香りディフューザーを使った一晩の嗅覚トレーニングは、高齢者の記憶力を改善し、鉤状束(こうじょうそく)を補正します
Frontiers in Neuroscience
2023年7月

検証方法

年齢 60歳から85歳
人数 健康な43人
精油 7種類を用意
方法 毎晩睡眠中に1種類のみを2時間
   毎日違う種類を1つづつ使う
期間 6か月

43人はアロマ組とそうでないグループの2つに分けられます
臨床実験中、コロナ禍になり大学が使えなくなったそうです。

なので43人を一緒に実験することができなかったようで、6か月後の認知力評価テストの結果は半分の23人の結果となっています。

一方脳神経部位を測定するMRIはその後臨床実験を再開し、43人全てが対象となっています。

結果

・認知能力の差が226%も出た
・鉤状束(こうじょうそく)に変化あり

アロマの効果がはっきりと表れたそうです。
アロマ組とそれ以外の組で、明確で統計的にも認められる認知力の差が226%だったそうです。

この評価はレイ聴覚言語学習テストによるものですが、言語学習と記憶をテストします。
海馬(記憶を担当)の健全性チェックや認知症の早期発見に有効なテストです。

226%の差は、アロマ組とそれ以外の組のスコアーを比べると、その差の大きさがアロマ組以外のグループの2.2倍あったということです。
つまり大きな改善があった、ということになります。

一方の鉤状束は脳の前頭葉とつながる部位ですが、片方が感情や記憶を担当する部位にも繋がっています
つまり香りの信号が送られる先ですので、嗅覚を鍛えるとこの部位にも良い影響があったと考えられます。

まさに鉤状束が導く経路は、加齢、アルツハイマー病で悪化する部位と言われてますのでこの結果は朗報です。

ラベンダーとみつばち

使われた7種類のアロマ

アロマ組は毎晩1種類づつを2時間試したわけですが、どのアロマを使ったのでしょうか。
興味がありませんか。

答えは以下の通りです。

ローズ オレンジ ユーカリ レモン
ペパーミント ローズマリー ラベンダー

文献にはこの7つの精油に決めた背景について残念ながら説明はありませんでした。
ローズ以外は手に入れやすい精油ばかりで、アロマとして馴染みのある種類ばかりです。
このあたりも負担をかけないで誰でも試せるこの検証のコンセプトが見てとれます。

癖があり個性が立つ種類の精油ではなく汎用性のある精油ばかりなので、ブレンドせずに一種類づつ使うことができます。
ローズマリーは集中力を高め記憶力を高めるのに効果があるとされていますので、勉強をする時に勧められる精油です。

さてここでぜひ注意して頂きたいのが、これらは全てエッセンシャルオイル(精油)で合成素材ではない、ということです。
エッセンシャルオイルでないと効果は期待薄です。
これについては以下をご参考になさってください。

ローズマリー

簡単に試せる記憶力アップの方法

この見出しは何か怪しいキャッチコピーの様ですね(笑)
ですが今回のカリフォルニア大学の論文は、まさに手軽に脳神経のメンテナンスを行える可能性を示しています。

もともと高齢者にアロマを試すこの検証は、あまりお金をかけず高齢者でも簡単に実行できる脳神経の劣化を防ぐ方法として考えられました。
寝ている間にディフューザを2時間使うだけ、というのは確かに簡単ですね。

しかも高齢者でも効果が期待できるのがポイントです。

また7種類のアロマもローズを除き手に入れやすい馴染みのある精油ばかりです。
基本的にどの店頭でも手に入ると思いますし、価格も手ごろです。

ローズは高価なので寝ている間に使うのはもったいない気がしますが。。(笑)

・香りの信号が直接脳神経に届けられる
・嗅覚神経は再生される

これらの明確な根拠からも一度アロマを試されてください。
少なくともよい香りが気持ちに働きかけることは実感されると思います。

いくら入手しやすいアロマ精油と言ってもディフューザーも用意しないとダメだし。。
と思われるのなら、とても簡単に睡眠中のアロマ芳香浴を行う方法があります。
ラベンダーポプリを使います。

ラベンダーポプリは精油と同様に入手しやすいです。
それをお茶パックに小分けし、枕元に幾つかおくとラベンダーの良い香りが楽しめます。
電気も火も使わないので地震など関係なく安全です。

詳しくは別のコラムでご紹介致しておりますのでご参考になさってください。

これまでアロマに縁のなかった方も一度睡眠時のアロマをぜひお試しください。

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