【ノーベル賞が光を当てたアロマの効果】嗅覚だけが自律神経の司令塔へ直接作用できます

アロマの効果
スコットランドのスカイ島
スコットランドのスカイ島

アロマでよい香りが漂うとホッとしませんか。
そうかな?よく分からないけど。。。
とおっしゃる方でもアロマを扱うお店の前を通った時、
「あっ、いい香り」
と感じたり、思わずそのお店に視線を移したり、となりませんか?

人が視線を向ける時は、それに興味がある時ですね。
香りはこのように一瞬の判断につながります。
それは香りの信号が、色々と物事を考える回路を通らず、本能担当の脳内部位に直接届けられるからです。

アロマなんて単なる気休めじゃないの?
と思っておられるかもしれませんね。
ですがノーベル賞を切っ掛けに嗅覚の役割や凄さが見えてきました。

五感の中で唯一嗅覚だけが持つ本能へのホットライン、つまりアロマの効果である自律神経の司令塔への作用について今回はお話致します。

もくじ

ノーベル医学生理学賞
 ☆ 2004年 香りの脳内信号
 ☆ 2014年 海馬が場所を知らせる
嗅覚が持つ利点
 ☆ 直接本能に触れるとは?
 ☆ 薬との違い
 ☆ 直接届くことは簡単ではない
嗅覚だけが本能に近い理由
 ☆ 五感の中で嗅覚が特別な理由
 ☆ いかに素早く判断し行動するのか

嗅覚は視覚や聴覚に比べスミに追いやられているようなところがあります。
ですが嗅覚に光をあて、この分野の研究に道を開いたノーベル医学生理学賞があります。

2004年リンダ・バック博士リチャード・アクセル博士が受賞された功績です。

香り成分が嗅覚神経細胞によって信号に変えられ脳神経に送られる仕組みを解き明かしたものです。
この功績は非常に高く多くの科学者に高く評価され、それまで末席に追いやられていた嗅覚に光をあてるものでした。

この功績のおかげで香りの信号がどのように脳内神経で伝えられてゆくのか、その後の研究で明らかになってゆきます。
体調を無意識にコントロールしてくれている自律神経の司令塔に香りの信号が直接働きかけていることもその後分かります。

そのような実はとても大切な役割を果たしている嗅覚に光をあてたのでした。

ローズマリー

直接嗅覚に関係するわけではないのですが、もう一つ脳内の記憶のメカニズムに関連するノーベル賞をご紹介いたします。

2014年モーザー夫妻(マイブリット&エドバルド)オキーフ博士が受賞された功績です。

嗅内皮質と海馬のつながりから、自分の居場所を知る海馬内の仕組みを解き明かしたのです。
嗅内皮質は鼻から送られてきた香りの信号を処理し、記憶を司る海馬に送ります。

ですがそれとは別に嗅内皮質は視覚や聴覚などその他の情報も受け取り自分の位置を確認する役目を持っています。
まさに脳内GPSのような仕組みが嗅内皮質と海馬にあることをモーザー夫妻は解き明かしたのです。

実はこの嗅内皮質は認知症になった時、海馬と同じく最初に傷つく部位だと言われています。
認知症になると迷子になる話はよく聞きます。認知症は海馬が大きく損傷していますので、まさに自分の居場所が分からなくなるのでしょう。

ローズマリー

それでは2004年のノーベル賞を切っ掛けにその後、嗅覚の利点として何が分かったのでしょう。

香りの信号が脳神経をどの様に伝わってゆくのか?
その道筋を調べる研究が特に進みました。
そして分かった嗅覚の利点は

香りの信号は直接本能に働きかける

です。
これは視覚や聴覚とは区別されます。

本能は考え意識した行動ではありません。
無意識に出る行動です。

自律神経は意識とは別に自動的に働いています。
一番分かりやすいのは内臓の働きです。
内臓は自律神経により無意識のうちにコントロールされています。

この自律神経の司令塔は脳内の本能の部位(視床下部)にあります。
香りの信号が直接本能に触れるとは、自律神経の司令塔にも触れることになります。
つまり好みの香りで自律神経に働きかけ、体調を整えるルートを持つことになります。

薬の開発がとても大変なことはご存知だと思います。
試験管内での実験では抜群の効果があり、さらにマウスの実験でも素晴らしい効果がある、
といった薬の元ネタは数多くあります

ところが、これが人体への臨床実験になるととたんに成果が出ない、と言った例は非常に多いです。
人の体の仕組みはマウスより圧倒的に複雑なこともあり、
薬成分が届けたい病巣に中々届かない
もしくはそれまでに薬成分が分解される
といったことが起こるからです。

そもそも食事やサプリメントでも、有効成分が期待したほど体に吸収されない、と言った理由もあります。

日光の湯ノ湖

薬の話のように体内で、しかも脳内で直接触れることができる、ということは極めてまれなことです。
逆を言えば、直接本能の部位(自律神経や記憶や感情の部位)に普通はアクセスできません。
ですので、香りの信号がダイレクトに記憶や感情に触れられのは非常に大きなポイントです。

香りの信号が直接届けられると途中で雑音が入ったり弱まったり、ということもありません。

また、嗅細胞神経は再生する神経ですので直接作用することにより、
・認知症など脳神経の劣化防止の可能性
・さらには逆転(改善)の可能性

も視野に入ってくるわけです。

たとえば高齢者でもアロマによって記憶力が高まった臨床実験結果を別のコラムでご紹介しておりますので、ご参考になさってください。

奥蓼科の美しい景色

直接、本能の部位に働きかける意味合いは体のコントロールに非常に大きな意味合いを持ちます。
なのでアロマでお気に入りの香りを嗅ぐことは、体調を整える効果があるわけです。

また香りの信号が嗅内皮質で処理され海馬に送られることから、自分が好む香りはまさに本能ベースで脳神経が喜び記憶の総本山である海馬にも良い影響をもたらします。
それを裏付ける興味深い検証結果があります。

香りの最先端にいるソムリエの海馬は大きいのです。
別のコラムでご紹介しておりますのでご参考になさってください。

ラベンダー畑のみつばち

嗅覚だけが本能に近い理由

☆五感の中で嗅覚が特別な理由

人の体の仕組みは生物が海から陸にあがった時から進化を続けた結果です。
なので自然の中で生きる動物が天敵から身を守るその仕組みも受け継いでいます。

天敵の存在を素早く知るために五感の中で嗅覚が選ばれたわけです。
なぜ視覚や聴覚ではなく嗅覚なのでしょうか。

視覚と聴覚は天敵がすぐそばにいないと役に立たないものです。
天敵が視界に入る、もしくは天敵の動きを音で察知することとなります。
さらに視覚に関して言えば、夜は使えないことになります。

一方嗅覚は天敵がいない時でもその残り香を確認することができます
つまり天敵の過去の行動をある程度追うことができます。
訓練された警察犬が犯人の後を追う、あれですね。

なので天敵から身を守るのであれば、視覚や聴覚の精度をあげるより嗅覚の精度を上げる方が生存率を上げやすいことになります。

もちろん天敵から身を守るだけではなく、逆に獲物を追いかけるケースでも全く同じ事が言えます。

☆いかに素早く判断し行動するのか

とにかく天敵から身を守ることは生死に関わります。
危険を感じたのならすぐに行動に移す必要があります。

すぐに行動するためには、その危険情報を理屈抜きで最優先で判断・行動する脳内部位、つまり本能担当である大脳辺縁系に届けることになります。

一方、人間らしい思考や行動は大脳辺縁系の周りを包む大脳新皮質が担当しています。
ですが天敵が迫っている時に、その危険情報を大脳新皮質に回し過去の情報・経験と照合して対策を考えて、、、、などという余裕はないわけです。

しかも危機は一瞬で終わるわけではなく、次から次へと状況が変わりそのつど危険情報が入ってきます。
これを瞬時に判断し行動に移す必要があるので、まさに考えている暇などないわけです。
ですので、五感の中で選ばれた嗅覚は脳内の本能担当の部位に直接アクセスするルートを長い生物進化の中で持つわけです。

バスケットのラベンダー

このようにアロマで香りを楽しむことが本能に働きかけ意識してコントロールできない体の仕組みに働きかけることに繋がっています。

一度アロマを試されると、まずとても心地よいリラックスした気分を味わうことができると思います。
それは無意識の領域で体が反応している表れだと思います。
アロマを体験し実感されて下さい。

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