多くの方はアロマと言えばディフューザーやアロマステックを使った芳香浴をイメージされると思います。
キャリオイルもしくはベースオイルと呼ばれる植物油を使うアロマはあまり、、、と言った感じでしょうか。
確かにエッセンシャルオイルを選び、そのうえキャリアオイルまで選ぶなんて面倒、と。
ですがキャリアオイルを使いトリートメントオイルを作られるとアロマの世界が広がります。
何よりエッセンシャルオイルの香りを直接楽しむことができます。
芳香浴は香りの信号が鼻から脳神経に届きます。
一方トリートメントオイルを使うと香り成分が皮膚から体に入って行きます。
まさに香り成分を皮膚内に届ける(キャリー)役目を果たします。
今回はトリートメントオイルを作る素材であるキャリアオイル(植物油)の役目についてのお話です。
◇ アロマで使われるキャリアオイル
◇ キャリアオイルの役目
☆精油(エッセンシャルオイル)を溶かす
☆香り成分を体内に届ける
☆肌の乾燥を防ぐ
◇ 皮膚から香り成分を吸収するとは
◇ アロマテラピーの言葉の生みの親
☆ルネ・モーリス・ガットフォセ
☆香り成分の薬理効果
アロマで使われるキャリアオイル
アロマで精油を溶かすオイルはキャリアオイルやベースオイルと呼ばれています。
キャリアオイルは何か特別なオイルではなく、食用で使われる植物油と同じです。
ですので植物由来の天然素材です。
基本的に口にする植物油を肌に塗ることになります。
キャリアオイルの役目
・精油を溶かす
・香りの成分を体内に届ける
・肌の乾燥を防ぐ
☆精油(エッセンシャルオイル)を溶かす
精油は水には溶けません。
ですがオイルには溶けます。
キャリアオイルに精油を溶かすと、香りの成分を均一に混ぜることができます。
精油は水で直接薄めることはできません。
☆香り成分を体内に届ける
あと一つ大切な役目は、香り成分を体内に届けることです。
皮膚は外部から異物が入らないように身を護っています。
ですがオイルはその防御壁をくぐり抜けることが出来ます。
その時オイルに溶けている香り成分も表皮から皮膚の内側に入ります。
その香り成分が皮膚直下の自律神経や知覚神経に作用し、薬理効果をもたらすのです。
☆肌の乾燥を防ぐ
キャリアオイルは色々な種類があります。
中にはキャリアオイルそのものがスキンケア―に使われる種類もあります。
精油とは直接関係ありませんが、キャリアオイルそのものは肌のメンテナンスにとても大切な保湿効果があります。
一部を除きすべて植物油で天然素材が使われますので、馴染みのある素材を保湿のために使えます。
オイルには色々なテクスチャーがあり伸びが重い種類もあります。
その様なべたつき感が苦手だとしても、サラッとした感触のオイルを選ぶこともできます。
皮膚から香り成分を吸収するとは
皮膚の表皮のすぐ下は真皮です。
ここには、知覚神経、自律神経、毛細血管が延びています。
例えば寒さを感じると自律神経の働きで血管が収縮します。
お風呂に入ると血管がゆるみます。
このように皮膚につながる機能が体の状態を一定に保とうと働きます。
ですので皮膚から吸収された香り成分も同じように体に働きかけます。
真皮の自律神経にすぐに働きかけたり毛細血管に吸収されたりします。
分かりやすい例では、ペパーミントの精油を肌に塗るとヒヤッとしますね。
これはペパーミントの香り成分であるメントールの作用です。
これなどは香り成分が真皮の知覚神経や自律神経に働きかけている例です。
詳しくは別のコラムでご紹介していますのでご参考になさってください。
その他ユーカリやティートリーの殺菌効果やラベンダー、カモミールの抗炎症作用なども認められています。
アロマテラピーの言葉の生みの親
アロマテラピーとは「香り成分であるエッセンシャルオイルを用いた自然療法」の意味で使われます。
アロマテラピーと言えばディフューザーなどによる芳香浴をイメージされる方が多いと思います。
心地よい香りを嗅ぐと気持ちが安らぐ、これがアロマテラピーだと。
もちろんそれもアロマテラピーですが、もともとこの言葉が生まれたのはやけどにラベンダー精油が使われたことに始まっています。
★ルネ・モーリス・ガットフォセ
「アロマテラピー」はフランス人科学者ルネ・モーリス・ガットフォセが生み出した言葉です。
1937年のことです。
ガットフォセが実験でやけどを負った時、化膿した部分にラベンダーの精油を塗ったのです。
それで治療できたことから興味を持ったガットフォセが「アロマテラピー」という用語を作ったのです。
★香り成分の薬理効果
香り成分の薬理効果はアロマテラピーと言う言葉と共に広められたのです。
つまり香り成分の効果は鼻から脳神経に伝わるルートだけではなく、皮膚に作用するルートもあるのです。
むしろアロマテラピーの出発点は香り成分が皮膚に作用するルートからだったのです。
鼻から吸った香り成分は鼻の奥で神経信号に変えられ直接脳神経に伝えられます。
一方皮膚から吸収された香り成分は直接、真皮に延びている自律神経や毛細血管に作用します。
キャリアオイルは肌の保湿効果と共に、まさにその香り成分を体内に届ける大切な役目を果たしているのです。
どのようなキャリアオイルがあるのかは別のコラムで紹介しておりますのでご参考になさってください。
アロマテラピーの原点でもある、香りの成分が皮膚に直接作用する自然療法にキャリアオイルは欠かせない素材なのです。
アロマテラピーは嗅覚によって香りの信号が脳神経に届けられるルートだけではないのです。