キャリアオイルにエッセンシャルオイル(精油)を溶かしトリートメントオイルを作ります。
キャリアオイルは中々手に入りにくい物もありますが、10種類以上あります。
非常に大雑把な言い方になりますが、大きく2つのグループに分けることができます。
そのポイントを抑えておくとキャリアオイルの選択に役に立ちます。
今回はキャリアオイルの種類と選択についてのお話です。
◆ キャリアオイルの分類
◆ キャリアオイルの種類
◆ いくつか個別の補足説明
① 酸化しやすいメジャーなオイル
② オリーブとスクワラン
③ 油と脂の違い
④ ワックスエステル(ロウ)
◆ アルガンとグレープシード
・アルガンオイル
・グレープシードオイル
◆ オリーブスクワラン
◆ ココナッツオイル(ヤシ油)
◆ ワックスエステルと肌の表面成分
・ワックスエステル(ロウ)
・皮脂と同じ脂肪酸
◆ まとめ:結局どのオイル?
キャリアオイルの分類
キャリアオイルはどのように分類できるのでしょう。
キャリアオイルの違いはそれぞれに含まれる脂肪酸の種類によって決まります。
その違いは次の様なポイントに現れます。
・酸化しやすいか酸化しにくいか
・しっとりかさらさらか
特に、酸化しやすいか酸化しにくいか、をポイントにするとキャリアオイルは分かりやすいです。
そこで酸化をポイントにキャリアオイルを分類すると次のようになります。
酸化の程度 | 特徴 | 具体例 |
酸化しにくい | しっとり(不乾性~半乾生) | オリーブオイルなど |
酸化しやすい | さらさら(半乾性~乾性) | アルガンオイルなど |
慣れている方は色々なキャリアオイルの特徴をつかんでおられると思います。
これから試してみようかな、とお考えの方にはやはり取扱いが楽な酸化しにくいキャリオイルをお勧めします。
ですがサラッとした質感をお好みであれば取扱いに気を遣いますが酸化しやすいオイルを選ぶことはもちろん可能です。
酸化しやすいオイルは、その瓶の蓋は常にしっかりと閉め光や熱にさらされない保管管理が必要です。
キャリアオイルの種類
さてそれではキャリアオイルにはどの様な種類があるのでしょう。
全てのキャリアオイルではありませんが、名前がよく挙がるのは以下のオイルだと思います。
不乾性 | 半乾性~乾性 |
オリーブ | アルガン |
ココナッツ(ヤシ) | スイートアーモンド |
ツバキ | セサミ(ゴマ) |
マカデミアナッツ | グレープシード |
アボカド | |
ホホバ |
ご覧のように多くの種類があります。
左は酸化し難くく右は酸化し易いです。
管理人のお勧めはマカデミアナッツオイルです。
酸化しにくく、肌を覆っている皮脂の一つの成分を比較的多く含むため、肌への馴染みが良くべたつきのない軽い使用感があります。
その他、オリーブオイルは値段が手頃ですし、ホホバも肌への馴染みが良いのでお勧めです。
なお、キャリアオイルの酸化については別のコラムでお話しておりますのでご参考になさってください。
10種類のキャリアオイルをご覧になって、ほとんど食用油と同じ?と思われたかと思います。
確かにその通りですが、キャリアオイルと食用油は違います。
食用油に精油を垂らし肌に直接塗るとアレルギーが出る可能性がありますのでキャリアオイルのようには使えません。
キャリアオイルと食用油の違いについては別のコラムでお話ししておりますのでご参考になさってください。
いくつか個別の補足説明
先ほど10種類のキャリアオイルを挙げましたが、幾つか個別のオイルについて補足説明を致します。
補足説明は次の4点です。
① 酸化しやすいメジャーなオイル
・アルガンとグレープシード
② オリーブとスクワラン
・オリーブスクワラン
③ 油と脂の違い
・ココナッツオイル
④ ワックスエステル(ロウ)
・ホホバオイル
① 酸化しやすいメジャーなオイル
キャリアオイルの紹介でよく名前が挙がるものの酸化しやすく、その取扱いに注意を要するオイルもあります。
その例がアルガンオイルとグレープシードオイルです。
② オリーブとスクワラン
オリーブオイルのキャリアオイルの中にはスクワランと呼ばれるオイルも販売されています。
オリーブオイルとオリーブスクワランの違いについて後ほど補足説明致します。
③ 油と脂の違い
精油を溶かしトリートメントオイルとして使う際にはこのポイントは特に考える必要はありません。
ですが正確には一般的なキャリアオイルと少し違う種類となります。
これに当てはまるのはココナッツオイル(ヤシ油)です。
④ ワックスエステル(ロウ)
このポイントも実際に使う際には意識する必要はないのですが、これにあてはまるホホバオイルはとてもメジャーで管理人もお勧めしたいキャリアオイルの仲間ですので後ほど補足説明致します。
アルガンとグレープシード
多くのサイトでこの2種類はキャリアオイルとしてお勧めされていると思います。
ですがこれからトリートメントオイルを作ってみようと考えておられる方はその特徴をよく理解しておく必要があります。
☆アルガンオイル
アルガンオイルは多くのサイトでお勧めされていると思います。
昔からアルガンオイルそのものがスキンケア―として使われており、特にビタミンEを多く含むことがうたわれています。
ビタミンEが多いと酸化を防止してくれます。
確かにアルガンオイルは有効な成分を含み、また酸化しにくい脂肪酸も多く含みます。
ですが一方で酸化し易い脂肪酸も比較的多く含まれています。
つまり保管管理をきちんと行う必要があります。
いくらビタミンEを多く含むと言ってもそもそも酸化しにくい脂肪酸がほとんどのオイル、例えばココナッツオイル、ホホバオイル、オリーブオイルなどと比較するとその扱いには注意を要します。
アルガンオイルは非常に高価なオイルです。
酸化する前にどんどん使われる方なら良いのですが、高価なオイルだから少しづつ、とお考えならあまりお勧めできるオイルではありません。
☆グレープシードオイル
このオイルも酸化し易いオイルです。
サラッとしたテクスチャーで人気があり、やはり多くのサイトで紹介されていると思います。
特にマッサージオイルとして使う場合はこのさらっとした感触は好まれます。
アルガンオイルと同じ様にビタミンEの一種を含みますのである程度は酸化を防止してくれます。
酸化し易い特徴を見越し、酸化防止剤を添加している場合もあります。
スイートアーモンドオイルを選ばれる場合は酸化防止剤入りを選ばれる方が無難だと思います。
オリーブスクワラン
スクワランはスクワレンが変化した脂肪酸です。
スクワレンは人の皮膚に多く含まれ保湿性があります。
なおかつ酸素を運んでくれるので肌には有益な成分です。
ですのでトリートメントオイルや化粧品に使いたい成分です。
ところがスクワレンは酸化しやすいのでそのままでは使えないのです。
そこで水素を通し酸化のリスクを抑えた脂肪酸がスクワランです。
スクワランの元になるスクワレンは天然ではサメの肝油に多く含まれているのですが植物ではオリーブオイルに含まれています。
もっともオリーブオイルに含まれていると言っても1%程度ですのでオリーブオイルそのものが酸化するリスクはほとんどありません。
キャリアオイルのオリーブオイルを調べているとオリーブスクワランが出てくるかと思います。
それはオリーブから採取加工されたキャリアオイルとなります。
ココナッツオイル(ヤシ油)
ココナッツオイルは他のキャリアオイルとの差はつきにくいのですが、正確には植物油であるキャリアオイルとは種類が少し違います。
キャリアオイルは常温で液体ですが、ココナッツオイルは20℃以上でないと固体です。
なので植物油(ゆ)ではなく植物脂(し)です。
20℃あたりで溶けますのでちょうど肌に塗る化粧品のクリームとして使いやすく多くの製品に使われています。
またココナッツオイルは酸化にはとても強いので化粧品としても採用しやすい素材です。
ワックスエステルと肌の表面成分
肌の表面は肌を保護する目的で皮脂が存在します。
肌表面を覆う自前のクリームの様なものです。
この皮脂の成分と同じような成分を持つキャリアオイルが良い、と言う説明がされることがあります。このストーリーで出てくるポイントは次の2点です
・皮脂の約25%を占めるワックスエステル
・皮脂の約15%を占める(遊離)脂肪酸
では順にお話しいたします。
☆ワックスエステル(ロウ)
化学的にロウのことです。
ここまで説明してきた植物油脂であるキャリアオイルとは異なります。
このロウ(ワックスエステル)を主成分に持つのがホホバオイルです。
ロウは固体、というのが皆さんのイメージだと思います。
ですがホホバオイルは常温で唯一の液体です。
ですので正確には他のキャリアオイルとは異なる種類です。
ホホバオイルは液体でキャリアオイルと同じ様に扱え、皮脂成分の一部であるロウと同じ成分であることからよく紹介されます。
実際肌に塗った時、肌に馴染む親和性が感じられます。
しかも植物油に比べロウですので油感が少なく軽くさらっとした感触があります。
なので肌との親和性ともあいまり化粧品のクリームなどに広く使われています。
またホホバオイルは酸化しにくい素材です。
ちなみにミツバチが巣を作る時に分泌するのがミツロウです。
ホホバオイルの植物ロウに対してミツロウは動物ロウです。
ミツロウは常温で固体ですが熱を加えると溶けるので精油を混ぜてクリームを作ります。
☆皮脂と同じ(遊離)脂肪酸
皮脂の一部を占める脂肪酸の種類について説明される場合があります。
具体的にはパルミトレイン酸がよく引き合いに出されます。
この脂肪酸を多く含むキャリアオイルは肌に馴染みやすいというくだりで紹介されます。
このストーリーでよく紹介されるのは、マカデミアナッツオイルなどです。
マカデミアナッツオイルはパルミトレイン酸を比較的多く含み肌に塗ったときの感触も軽いので化粧品には広く使われています。
アルガンオイルは皮脂に含まれる脂肪酸であるオレイン酸、リノール酸の両方を含み、さらにはビタミンEも多く含むことより肌に優しく昔よりスキンケアーに使われてきました。
ただ繰り返しとなりますが、マカデミアナッツやホホバと異なりアルガンオイルは酸化しやすい脂肪酸もそれなりに含みますので保管管理はしっかりと行う必要があります。
キャリアオイルの酸化については次のコラムをご参考になさってください。
アルガンオイルに含まれる脂肪酸の種類とその割合についてもお話しています。
まとめ:結局どのオイル?
多くの種類があることがお分かりになったと思います。
種類が多いという事はご自身に合ったオイルを選ぶチャンスがあるということです。
肌に優しく使い心地もマイルドなアルガンオイルやグレープシードオイルなどに興味は向くと思います。
繰り返しとなりますが、これらのオイルは保管管理に注意を払う必要があります。
ヘビーユーザーでドンドン使われるのならまだ良いのですが。
また成分表で酸化防止剤が配合されているか確認をされるも一つの方法です。
と言うことで、管理人のお勧めは酸化しにくいオイルです。
オリーブオイル、マカデミアナッツオイル、ツバキ油、ホホバオイル(実際はロウですが)、をお勧めします。
アロマの楽しみは心地よい自分に合った香りです。
キャリアオイルを使ったトリートメントオイルでお気に入りの香りを是非お楽しみください。