【アロマが体調維持に働きかける仕組み】アロマとホメオスタシス(体調維持機能)の関係

アロマの効果
フランス アルザス
フランス アルザス

皆さんはホメオスタシスという言葉を聞かれたことがあるでしょうか。
ホメオスタシスとは体の状態を一定に整える恒常性維持の仕組みです。

言葉で「体調を一定に整える」と言うのは簡単ですが、これはとても高度で精緻な仕組みです。
どのような状況においても身体的にも精神的にもできるだけぶれないないように調整するわけですから。

そしてその高度で精緻な仕組みに香りの信号が貢献します。
ホメオスタシスの仕組みにアロマが役立つその背景を知ると、きっと香りの効果にご興味を持たれると思います。

今回はホメオスタシスとアロマについてお話致します。

ホメオスタシス(恒常性維持) 
 ・ホメオスタシスが意味すること
 ・ホメオスタシスには触れられない

アロマがホメオスタシスに作用する
ホメオスタシスの3つの手段
 ・自律神経系
 ・内分泌系(ホルモン系)
 ・免疫系
ホメオスタシスの司令塔
 ・視床下部(ししょうかぶ)
 ・司令塔へのフィードバック
アロマとホメオスタシス

 ・香りの信号が意味すること
 ・司令塔に直接届く香りの信号
薬よりアロマはダイレクトで優しい

 ・脳内の関所
 ・アロマの副作用報告はありません

バスケットのラベンダー

ホメオスタシスは体の状態を一定に保つ仕組みを指します。

恒常性維持機能のことです。
これはとても高度で精緻な仕組みです。

人は動きますから常に周りの環境が変化します。
その様な変化に常に対応する必要があります。

ホメオスタシスをご存知なくてもメンタルに多大な影響を及ぼす自律神経の名前はよく耳にされると思います。
実は自律神経のコントロールはホメオスタシスの仕組みの一つです。

もしホメオスタシスの仕組みを持たなければどうなるでしょう。
それはおそらく植物と同じカテゴリーに入ることになるでしょう。

植物には神経系の仕組みがありません。
特に体全体の組織をコントロールする自律神経系の仕組みを持たないので動くことができないと言われています。

人はホメオスタシスの仕組みが発達しているものの、その仕組みを意識してコントロールすることはできません

この仕組みに不具合が生じると当然体調を崩すこととなります。
そのような時、意識してホメオスタシスの仕組みを回復させようとしても思い通りにはできません。

休息を取ったりお医者さんや薬の力を借りることになります。
結局受け身の対処法となります。

実は一つホメオスタシスの仕組みに働きかける方法があります。
それは香りの信号をホメオスタシスの司令塔に届けることです。
まさにアロマの出番です。

アロマテラピストなら必ずホメオスタシスについて勉強致します
それだけアロマが意識的に触れられない体の仕組みに触れることができる可能性が高いからです。

ラベンダー畑の風景

ではアロマがどうしてホメオスタシスの仕組みに働きかけることができるのでしょう。
それは香りの情報は脳内の本能の部分に直接届けられるルートを持っているからです。

ホメオスタシスの仕組みについてはこのあと順にお話致します。
そこでポイントとなるのはホメオスタシスの司令塔です。

この司令塔は脳内のコアである本能を司る部分にあるのですが、香りの信号はそこに届けられるルートを持っているのです。
しかも視覚や聴覚のように脳内の別のルートから届けられるのではなく、ダイレクトに届けられます
つまり香りの信号が薄まったり余計な雑音が入ったりすることは極力抑えられます。

自律神経の仕組みはホメオスタシスの一つです。
香りの信号がホメオスタシスの司令塔に直接働きかけるということは、香りが自律神経にも作用するということです。

アロマが癒しに繋がりリラックスできる、と言われるその正体はまさにこの部分です。
「あっ!いい香り」と感じた香りの信号は、瞬時にホメオスタシスの司令塔に届けられ自律神経に指令が飛び、自律神経のバランスが調整され癒しに繋がります。

これが意識して触れることのできないホメオスタシスの仕組みにアロマが作用できる理由です。
結論を先にお話し致しましたが、このあと順にホメオスタシスの仕組みからお話致します。

花とみつばち

ホメオスタシスの仕組みは大きく3つの手段によります。

・自律神経系
・内分泌系(ホルモン分泌)
・免疫系

これら3つの手段を用いて体は刻々と変化する状況に対応しています。

「アロマ」と聞かれてリラクセーションをイメージされる方は多いと思います。
まさにメンタル面の緊張は自律神経の領域です。

また自律神経はメンタル面だけではなく内臓の働きもコントロールしています。
自律神経は体全体の組織をコントロールするわけですが、そのために2つの系列を持っています。

交感神経  ⇒ 体をアクティブに動かす
副交感神経 ⇒ 体を休める

この2つの神経系のバランスが崩れると体調不良やメンタル面の異常が生じることになります。

ホルモン分泌による体のコントロールは自律神経の働きに比べ時間をかけた働きかけになります。
例えば朝起きたり、夜寝たりする時のホルモンはじわじわと分泌され時間をかけて効果が発揮されます。
消化系ホルモンも時間をかけてその役目を果たします。

一方の自律神経の働きは基本的に瞬時の反応です。
体に何か刺激があった時、すぐに体が反応するのは自律神経の働きです。
例えば湯船に浸かった瞬間、血管が広がり体が気持ち良さに包まれます。

自律神経系と内分泌系は協調して働くことが多いです。
一番分かりやすい例ではストレスを受けた時、副腎より抗ストレスホルモン(糖質コルチコイド)が分泌されることでしょうか。

このように自律神経からのシグナルでホルモンが分泌され体の状態を一定に保つ仕組みも働きます。

体内に入ってきた外敵から身を守ったり、体内の異常な箇所を修復させる機能です。
例えば日々発生するがん化した細胞を排除するのも免疫系の働きです。

免疫系の働きはその多くが自律神経のコントロールを受けています

自律神経の一つ、交感神経が働く時はアドレナリンが放出されます。
このアドレナリンを受け白血球の一部が働き始めます。

また副交感神経が働く時はアセチルコリンが放出されます。
このアセチルコリンを受けリンパ系の免疫細胞が働き始めます。

ちなみに女性よりも男性の方が癌の罹患率が高いので男性こそアロマを使い免疫力アップを図られてはいかがでしょう。
(国立がん研究センター2019年調べ)

ラベンダーにとまるみつばち

ではこれら3つの高度な手段をどの様に体はコントロールしているのでしょう。
それは脳のコアの部分である視床下部(ししょうかぶ)と呼ばれる部位です。

これはまさに生物進化の中で昔から存在する脳神経の部位で本能の部位です。
ちなみに人類の進化と共に獲得した知能を司る脳はこのコアの部分を包むように配置され大脳新皮質(だいのうしんひしつ)と呼ばれています。

この視床下部が自律神経系、内分泌系、免疫系の3つの系列に指令を出します
もうお分かりだと思いますが生命活動には欠かせない中枢です。

視床下部の大きさはおおよそ親指くらいの大きさです。
その大きさで生命活動を全てコントロールするのですから驚きです。
もっとも携帯のチップもとても小さいですからそれほど驚くことではないのかもしれませんが。。(笑)

ホメオスタシスの仕組みは司令塔である視床下部から指令が出ます。
ですが体の状態を一定に保つには司令塔は体の状態を知る必要があります。
つまり司令塔への情報フィードバックの仕組みがあるわけです。

たとえばホルモン分泌後、その効果が確認されるとホルモン分泌を抑える様に指令が出ます。
これは視床下部にホルモンの効果をフィードバックする仕組みがあるからです。

このように司令塔である視床下部へ心身状態のフィードバック機能があり、それに基づく指令が出るわけです。

司令塔は指令を出すだけの一方通行の仕組みではないわけです。

ローズマリー

ホメオスタシスの司令塔は指令を出すだけではなく心身状態のフィードバックを受け、それを反映させた指令を出します。
アロマによるホメオスタシスへの働きかけはここにポイントがあります

香りの信号と本能の支配下にあるホメオスタシスの仕組みにどの様な繋がりがあるのでしょうか。
それは「匂いは生存に直結していた」です。

天敵の存在を匂いで知ります。
逆に獲物や食べ物の存在が分かります。

視覚は夜は使えません。
聴覚は遠いと分かりません。
嗅覚は残り香でも分かります。

進化した人間の場合、さすがに匂いが生存に関わることはほとんどありません。
ですが香りの信号は生存本能にかかわる情報として本能の部分にアクセスできるルートを持っていたのです。
そして生物進化の歴史の中でもそのルートは脳のコアの部分に残されているのです。

つまり香りの情報はホメオスタシスの仕組みに働きかけることができるのです。
本能的に良いと判断される香りは当然ホメオスタシスの仕組みに良い影響をもたらすことになります。

香りの信号は他の視覚や聴覚の信号と異なり本能の部分、つまり視床下部へ直接届けられます。

つまりホメオスタシスの情報フィードバックの仕組みに乗せることができます

司令塔である視床下部に働きかけ自律神経のバランスを整えることにつながってゆきます。
これがアロマの良い香りを嗅ぐとリラックスする一因です。

アロマではありませんが本能に働きかける最も分かりやすい例は、美味しい食べ物の香りを嗅いだ時です。
カレー、焼き鳥、すき焼き、鰻などなど、匂いを嗅いだ瞬間理屈抜きで食べたくなる時があります。
これなどはまさに香りの信号が本能を動かす例だと思います。
獲物を見つけたのと同じですね^^

ローズマリー

ここまで体調を整える脳内の司令塔に香りの信号を届ける話を致しました。
香りの信号を届ける、と簡単に書きましたが脳内神経に外から何かを届けることは、実はとても難しいことです。

ホメオスタシスの仕組みに触れようとして薬が脳内に入るにはハードルが結構高いです。
脳内神経はとても重要な部分ですから異物が入らない様に関所があります。
血流脳関門(けつりゅうのうかんもん)と呼ばれています。
この関所をくぐり抜けるのは簡単ではありません。

一方アロマは脳内神経を伝わり香りの信号を直接司令塔である視床下部や海馬に働きかけるわけですからその効果はとても大きいわけです。

中でも精神的な落ち着きに繋がる自律神経への働きかけは心理的な安心感をもたらしてくれます。

奥蓼科の美しい景色

ホメオスタシスの仕組みをサポートするのに薬よりアロマの方が有利な点がもう一つあります。

2004年に香りの信号が脳内に届けられる研究成果でノーベル賞が授与されました。
これより香りの人体への働きかけについて色々な研究発表がなされるようになりました。
そのような中でもロマの精油に関し副作用についての報告はなされていません

もちろん実験では日常生活に沿った適量で結果報告されていますので極端な使い方は考慮されていません。
また肌に直接精油をつけた場合光毒性皮膚刺激などが生じることはあります。
ですが嗅覚を通した芳香浴の場合はその様な心配はありません。

あととても大切なことですが、全て精油(エッセンシャルオイル)を使った結果報告です。
香水に使われる合成香料での報告ではありません

ですので合成香料を使ったアロマオイルなどはその副作用はもちろんその効果も分かりませんのでご注意ください。

精油と合成素材の違いについては別のコラムでお話ししておりますのでご参考になさってください。

ホメオスタシスの仕組みにアロマは働きかけることができます。
お好きな香りで芳香浴をされるとリラックスできることからもお分かりだと思います。
特にこれまでアロマに関心のなかった男性の方も免疫系でお話した様に、男性の癌の罹患率は女性よりも高いので、一度アロマを試されてはいかがでしょう。

ぜひお好きな香りでアロマをお楽しみください。

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