【ケルンの水のレシピをたどる】香水文化の原点的なレシピです

アロマを使う
ドイツ・アーヘンの銅像
ドイツ アーヘンの銅像

ケルンの水は香水の世界が広がってゆくきっかけとなったオーデコロンです。
そのきっかけとはナポレオン軍の多くがフランスへのお土産として買って帰った事から始まったと言われています。

しかもその時代だけではなくその後200年以上に渡り多くの人に使われてきました。
それはやはりいい香りだと受け入れられてきた、と言う事だと思います。

ではその香りの成分とはどの様なものでしょうか。
今回は200年以上も受け継がれているケルンの水のレシピについてです。

ケルンの水のホームページより
香り原料植物の名前
香り成分分子の種類
 ・リモネン
 ・リナロール
 ・ゲラニオール
 ・シトラール
 ・ヒドロキシシトロネラール
 ・シトロネラール
4711の香りの骨格
 ・4711の香り成分と植物の関係
4711がもたらすイメージ

 ・4711の全体的なイメージ
 ・ベースノートの扱い

「ケルンの水」と呼ばれている伝統的な商品は4711です。
この4711の香りのレシピのヒントがホームページに載っています。

ホームページはwww.4711.comです。

ここに4711に使われている
・具体的な香り原料植物の名前
・香り成分分子の種類

が紹介されています。

もちろん伝統のレシピが公開されているわけではありません
ですがこの2種類の情報よりある程度の推測は可能です。

ホームページに記載されている植物の名前は次の通りです。

レモン ベルガモット オレンジ
ラベンダー ローズマリー ネロリ プチグレン


大雑把な分類ですが、最初の3つが柑橘系、残りの4つがフローラル系です。

ここから分かるのは、まず最初に柑橘系の爽やかな香りが漂います。
ここで気分がリセットされるようなすがすがしく気持ちが軽くなったイメージがもたらされます。

続いてフローラル系の少し甘い優しい香りが入ってきます。
ですが女性用香水のようなはっきりとしたフローラルではなく落ち着いた控えめな甘さです。

このあたりのフローラル系の使い方がユニセックス用で男女を問わないトーンになっています。

ローズマリー

ホームページに記載されている香り成分分子の種類は以下の通りです。

リモネン リナロール ゲラニオール
シトラール ヒドロキシシトロネラール シトロネラール


やはりこの香り成分分子を見ても柑橘系とフローラル系の香りが主力となっています。

柑橘系と言えばリモネンと言えるほど柑橘系を代表する香り分子です。
柑橘系の精油にはほぼ全て入っています。
しかも各精油内の含有割合も大きい香り分子です。

ラベンダーの香り分子としてよく名前が出ますが、フローラル系の香りです。
ばらのような象徴的な花カテゴリーと言うよりはハーブ系の小さな花の香り成分です。
この香り分子も多くの精油に含まれています。

同じくフローラル系の香り分子です。
リナロールに比べもう少しはっきりとした香りです。
ばらの精油を説明する時によく引き合いに出されます。
例えばゲラニオールを含むゼラニウムはバラのような香りも感じられる、と表現されたりします。

これも柑橘系の香りです。
特にレモンの特徴成分として知られています。
特徴成分とは、その含有量が少なくてもその精油の元の植物が分かる特徴的な香り分子のことです。
実際レモンの精油に含まれているシトラールは1~6%程度と少ないのですがレモンの香りと判別できます。
リモネンと相まって4711の第一印象である爽やかさをもたらす香り分子です。

この香り分子は香水には欠かせない香り分子だと言われています。
スズランの香りを表しミュゲと呼ばれています。
4711に涼しく優しいアクセントをもたらします。
ただこの香り分子は普通は合成素材ですので、恐らく4711も合成素材を使っているのだと思います

この香り分子も柑橘系の香りをもたらします。
特にオレンジに含まれています。

ここでご紹介した香り分子の順番は、ホームページの成分紹介の記述順に合わせています。
食品など商品の成分表は、その成分の割合が多い順に普通は表示されていると思います。
ですのでレシピは恐らく上から順に含有割合が小さくなってゆくのではないかと思います。

バスケットのラベンダー

それでは表示されている香り分子と植物をまとめてみます。

原料植物香り成分分子
レモンリモネン シトラール
ベルガモットリモネン リナロール
オレンジリモネン シトラール シトロネラール
ラベンダーリナロール
ローズマリーリナロール
ネロリリナロール ゲラニオール
プチグレンゲラニオール
(スズラン)ヒドロキシシトロネラール

左の植物はホームページに記載されている順に並べています。
おそらく含まれる量が多い順に近いと思います。

表を上から見てゆくと
最初にリモネン、
続いてリナロール、
そしてゲラニオールと並んでいます。

これに沿って次の様に香ります

リモネンで柑橘系の爽やかさ、
リナロールでフローラル系の優しさ
ゲラニオールで少し甘い香り

ただ甘い香りはかなり控えめに抑えられています
いづれにせよ、この香りが200年以上に渡り多くの人々を魅了してきたわけです。

4711は、柑橘系が効いていますので気分にプラスの効果をもたらします。
また単に爽やかさだけではなくほんの少し甘いフローラル系の香りも混ざりますので多彩な香りでもあります。

まさに気持ちをリフレッシュしながらも一息入れるような落ち着きももたらす香りです。
これまで200年以上に渡り人々に愛され、香りに携わる者の教科書的な存在であることも頷けます。

花とみつばち

特徴的なのはベースノートと呼ばれる重たい香り成分は入っていないことです。
この商品が誕生した頃はほとんどの人が教会に通っていたと思います。
そして教会ではベースノート系の落ち着いた少し重めの香りが焚かれていたと思います。
つまりベースノートは身近な香りだったと思います。

今にして思えばオーデコロンに重い落ち着いた香りを混ぜるなんて、、、とは思います。
ですが、当時に爽やかさを前面に押し出した香りを商品化したのはやはり人々の好みを捉えたセンスの良さがあったのだと思います。

ただベースノートがないと香りがすぐに飛んでしまいます
そもそも嗅覚は香りにすぐに慣れてしまい同じ香りを感じなくなります。
しかもベースが水のオーデコロンですからなおさらです。

よくケルンの水はすぐに香りがなくなる、と聞きますがやはりベースノート系がほとんど使われていないのだと思います。

200年に渡り多くの人達に認められてきたオーデコロンをご存知なければ、一度確認されるのはいかがでしょう。
「ケルンの水」がフランス語で「オーデコロン」と呼ばれ、ついには一つの商品ではなく一つのカテゴリーとして呼ばれるようになった香りですから。
特に香水にご興味があるのならその原点的な香りは参考になると思います。

なおケルンの水については別のコラムでもご紹介しておりますのでご参考になさってください。

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