アロマはお香や香水と何が違うの?
と思われる方は多いかもしれません。
お香と香水はアロマよりはっきりとしたイメージがあるかもしれません。
お香は供養や寺院の香り
香水はお出かけの華やかな香り
といったところでしょうか。
これに比べアロマは少し知名度が薄いかもしれません。
今回はお香とアロマの違いについてのお話しです。
なお、アロマと香水の違いは別のコラムでお話ししておりますのでご参考になさってください。
◆ お香とアロマの違い
◆ お香は和香料だけではありません
◆ 香りの元はどちらも植物由来です
・お香の主な原料
・アロマ精油との違い
◆ お香(和香料)の代表的な香原料
・お香のシンボル的な香木
・馴染みのある原料
◆ お香は粉末に火をつける
・パフュームとは煙の香り
・昔は香を焚くことが主流
◆ お香はベースノートの割合が高い
・香り成分の違い
・ベースノートがもたらすこと
◆ 精油をカバーするお香
お香とアロマの違い
精油もお香も原材料は植物で天然素材です。
ですがお香とアロマでは印象が結構違います。
どうして香りの元が同じなのに印象が違うのでしょう。
アロマとの比較でお香の特徴は次の様な点です。
・お香は香木を燃やす煙が香りです
・深く落ち着いた香りです
・精油にはない香りをカバーします
お香は香りの元である香木の粉を直接燃やします。
何気ないことのように思えますが、これがアロマとの違いが生まれるポイントの一つです。
どう言うことでしょうか。
順にご説明いたします。
お香は和香料だけではありません
恐らく皆さんのイメージではお香と言えば和香料ではないかと思います。
別の言い方では香木の香りをイメージされると思います。
ですが店頭で販売されているお香は和香料だけではなく精油と同じ花や葉、茎から抽出される香りが練り込まれているお香もあります。
一般にフレグランス系と呼ばれています。
フレグランス系についてはこのサイトのメインテーマである精油と話が重なりますのでここでは香木の香りである和香料についてお話し致します。
香りの元はどちらも植物由来です
☆お香の主な原料
椨(たぶ)
木の樹皮部分で糊剤として使われています
粉の状態でつかい水を含むと糊として使えます
椨自身はほとんど香りがありません
炭(すみ)
よく燃えるように線香ではよく使われます
香原料
まさに香りを生み出す原料です
香木が素材です
ご覧になってお分かりの様にお香は基本的に植物由来の天然素材です。
☆アロマ精油との違い
どちらも植物由来の天然素材であることは同じです。
ですが対象となる植物の使い方に違いがあります。
お香 | アロマ | |
種類 | 樹木系 (香木) | 草花系 |
使う部位 | 樹皮・樹脂 芯材 | 花・葉 茎・根 |
使い方 | 粉状で焚く | 香り成分を抽出 (精油) |
ご覧になってお分かりの様に同じ植物由来の天然の香りであっても結構違いがあります。
当然この違いは香りの違いに反映され、受ける印象も違ってきます。
最初にお話ししたようにお香もフレグランス系がありますので、お香とアロマがオーバーラップしている商品もあります。
ちなみに香水はほぼ合成香料ですので原料素材は大きく異なります。
お香(和香料)の代表的な香原料
☆お香のシンボル的な香木
お香の代表的な香原料として3つご紹介致します。
伽羅(きゃら)
おそらく香木の中でも最も珍重される究極の和香料だと思います
表現のしようがないとても良い香りを漂わせます。
樹脂が香りの中心となりますが香木そのものでも香りを放ちます。
歴史に名を残す人物もとりこにした香りです。
とても貴重な香木で今や簡単に手に入らないのですが。。。(笑)
沈香(じんこう)
この香りは徳川家康がコレクターとして有名な香木です。
樹脂が香りの素ですが香木そのものはあまり香りがしません。
熱を加え香りを焚きます。
こちらも言葉では表現が難しい一般的には体験したことのない香りだと思います。
実は先にご紹介した伽羅は沈香の中でも最高級の品質のものを指します。
白檀(びゃくだん)
3つの代表的な和香料の中でも白檀がまだ馴染みがあるのではないでしょうか。
特にアロマを試されている方であればサンダルウッドの名でご存知だと思います。
樹木系の深い香りに、ほんの少し甘味のような香りが混ざり気持ちを落ち着かせてくれます。
もとはインド産ですが残念ながら絶滅に近い状態で今はオーストラリア産が出ています。
精油は水蒸気を使い香り成分を抽出するので抽出しきれない重い香り成分もあり、お香のように火で焚く場合とは少し感じは異なります。
これら3つはお香の代表的な原料ですが、残念なことにとても貴重で入手困難です。
☆馴染みのある原料
先にご紹介した3種以外に使われる原料はわりと馴染みがあるものです。
<精油でも使われる原料>
・乳香(にゅうこう)(フランキンセンス)
・安息香(あんそくこう)(ベンゾイン)
<料理でも使われる原料>
・ウイキョウ(八角)
・丁子(ちょうじ)(クローブ)
・桂皮(けいひ)(シナモン)
わりと個性的ではっきりとした原料が多くアロマで使われる柑橘系やフローラル系とは異なるのが特徴的です。
お香は粉末に火をつける
☆パフュームとは煙の香り
Perfume(パフューム)はラテン語のper fumumから来ていると言われています。
per ~を通して
fumum 煙
つまりもともとPerfumeは「煙を通して」が語源のようです。
ちなみに香水のフランス語はparfum(パルファム)です。
お香は火を付けて香を焚きますが太古の時代より続く原点なのですね。
☆昔は香を焚くことが主流
アロマで使う精油はほとんどが水蒸気蒸留法で抽出されています。
この蒸留方法が確立されたのは1000年前後だと考えられています。
ですので香りを漂わせるには昔から精油の抽出ではなく香を焚いていたことになります。
実際、キリスト教ではフランキンセンスを焚き、お寺では線香を焚いてきました。
昔から、キリスト教、仏教、イスラム教、全て香を焚いて浄化を求めてきました。
やはり香りの持つ神秘性は宗教を問わず認められメンタルにも強く影響してきたのだと思います。
あとお香を焚くことでアロマ精油より重い香り成分が立ち上がります。
まさにこれがお香とアロマの印象が異なる理由の一つになっています。
お香はベースノートの割合が高い
お香とアロマの違いでこの点が一番大きい特徴です。
☆香り成分の違い
先にお話しした通り、同じ植物由来の天然素材の香りであってもその使われ方は異なります。
すると立ち上がる香り成分も異なり、受ける印象も異なります。
その大きな違いは、お香(和香料)はベースノートのウェイトが高いことです。
一方のアロマはベースノートの種類は結構限られています。
ベースノートとは、香りの立ち上がりに時間がかかる一方、その香りが長く続く香りです。
香りの立ち上がりと持続時間でグルーピングすると大きく3つのカテゴリーに分かれます。
トップノート 軽い
ミドルノート 中間
ベースノート 重い
これらについては別のページでお話ししております。
ご参考になさってください。
☆ベースノートがもたらすこと
ベースノートの特徴は次の通りです。
・香り分子が重い
・香りが残りやすい
・落ち着かせる
ベースノートの特徴は香り成分が重いことです。
そのため香りがたつまで時間がかかります。
その代わり香りは長い時間残ります。
重い香りを立ち上げるのに直接火で焚くというのは理に叶っています。
これは最も軽い香り成分である柑橘系と比較するとイメージがつかみやすいです。
たとえば柑橘系の精油は瓶を開けると直ぐに香ります。
一方線香の箱を開けてもパッと香る感じはありません。
またベースノートの気持ちに作用するイメージは軽くありません。
深くメンタル面に作用し気持ちを落ち着かせます。
まさに昔から教会・寺院で使われてきた実績が物語っているかと思います。
これも柑橘系との違いが明らかです。
柑橘系は落ち着く、ではなく爽やかで前向きな香りです。
精油をカバーするお香
精油はそのほとんどがトップノートからミドルノートです。
ベースノートの香りは数が少ないです。
深く気持ちを落ち着かせるにはベースノートは適しています。
お香はまさにベースノートが中心です。
もちろんお香の香り成分全てがベースノートではありませんが。。
まさに寺院や教会に足を踏み入れた時、感じる凛とした雰囲気はベースノートもしくはさらに重いボトムノートが作り出す世界です。
けっして柑橘系の爽やかな香りではありません。
ゆっくりと瞑想のように気持ちを落ち着かせたい時には精油ではなくお香(和香料)を試されるのは理に適った選択肢です。
どちらも香りが体調に働きかける点では同じです。
ですからアロマの精油だけでなくお香もその時の気分に応じて試されるはお勧めです。
ただお香はベースノートのウェイトが高いのでその香りが部屋に染み付く可能性がありますので使われる頻度にはお気を付けください。